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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION3-出会いと別れ-
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3-5.カラオケパーティー

「♪みかんチャンピオンなんて目じゃないぜ!俺のパワーをみてすれば♪ヤツなぞ、」


日和のタンバリンに合わせ、冥介がノリノリで子供番組の主題歌を歌っている。

10連続で歌い続けた綾がリズムに乗って一緒に踊っていた。


「…みんな元気だよね。僕はもう疲れたよ…。」


たくあんを箸で摘まんだまま週一がぐったりした笑顔で言う。

もうカラオケが始まって5時間。すでに夜中の1時だ。無理もない。


「あたしはまだ体力はあるんだけどね…レパートリーが…。」


なぜか流行歌は歌わずに演歌ばっかり歌ってた沙紀が苦笑する。

感情たっぷり込めて女子高生が演歌を歌う姿は何かいろいろミスマッチだった。

ちなみに彼女はタコヤキを持っている。


「沙紀は演歌しか歌わないからそうなるのよ?少しは今時の歌を歌わないと。」


今日の主役のはずなんだけど綾や冥介より目立ってない水面が微笑んだ。

口元にはさっき食べたトウモロコシの粒がくっついている。


「今時の歌ぁ?あたし苦手なんだよね、やっぱり日本人なら演歌しかないって。」


「そう言わずに。じゃあ私が予約したのを歌ってみて。きっと歌えるから。」


水面はそう言うと勝手に予約する。

曲は『権造ボサノヴァ』だ。

多分歌えそうもない。


「週一君は『ウニトラマンのうた』なんてどうですか?ほら、簡単そうですよ。」


さっきまで童謡を歌っていた憬教授が勧めるが週一は苦笑いして断った。

何だかんだいってこの人は元気だ。

見た目同様に体力も10代なのかもしれない。


「♪みかん!みかん!みかん!ウオォーッ!!」


…そんなこんなで冥介の曲が終わったようだ。

カッコつけて余韻に浸ってる冥介に日和がどこから持ち出したか紙吹雪を散らせている。

次の曲が流れ始めた。最近よく耳にする曲だ。

この曲を予約したらしい水面が立ち上がり、冥介からマイクを受け取る。


「沙紀も一緒に歌おう?ね?」


もう1本のマイクを手渡された沙紀が苦笑しながら立ち上がった。


「ああっ!コレって『朝焼けのスプリンクラー』!私も歌いたかったのにぃ!!」


綾が叫ぶ中、水面と沙紀のデュエットが始まる。

と、週一の携帯電話が鳴った。


「…?」


訝しげに画面を見ると、よく分からない紋章が映し出されている。

こんなエンブレムは登録した覚えがなかった。


「企業かな?でも…こんなの見たことない。」


そう呟くと週一はカラオケボックスから出て行った。


ピッ


外に出るともう歌も音楽も聞こえてこなかった。

さすがはカラオケボックス。防音設備は完璧だ。

週一が通話ボタンを押すと、画面になぜか青い地球が映った。


「…?」


なんだこりゃって思っていると画面が切り替わり今度は四天王カイネが映る。


「リアルタイム映像だぞ。なかなか壮観だろう?」


彼女は前に会った時のように優しそうな笑顔で言った。

一瞬週一はびっくりしたけど確か今週の土日は休戦って聞いてたから警戒を解く。


「携帯電話の番号…教えたっけ?」


無論教えてない。

敵と携帯番号の交換をする正義のヒーローはいないだろう。


「いや。悪いが調べさせてもらった。…まあ、そんな些細なことはいい。それよりも大切な連絡…というか謝罪があるのだ。」


些細なわけない。

プライバシーの問題はまあいいとして、敵がこっちの情報を簡単に手にしているってことはヤバいってことだ。

でも週一はそういうことまで頭が回らないアホだから気にしなかった。


「謝罪?」


「ああ、私からではないぞ。こいつからだ。」


画面が切り替わり、ウェキスが映った。

酒を飲んでいるらしくちょっぴり頬が赤い。


「ん?お前は確か蟹だったっけ?ずっと卒倒してたから俺の顔は知らねぇだろ?ウェキスっていうんだ。よろしくな。」


「え?あ、ああよろしく。」


やたらと親しげな四天王だ。

受話器から『お醤油を取って下さい』って声が聞こえる。

顔は見えないが多分それも四天王の1人だろう。本当に和やかだ。


「実はな、俺は土曜の4時に再戦の約束をしてたんだ。慰安旅行に行くって予定をすっかり忘れててな。だから謝るぜ。詫びといっちゃなんだが、月曜に襲ってくる予定の怪人の弱点を教えてやるよ。ヤツは塩に弱い。なんせナメクジみてぇなヤツだからな。」


ウェキスは笑って言うと、少し声を小さくして付け加えた。


「あ、これはコノハには内緒だぜ?あいつの怪人なんだ。ちなみにコノハってのは四天王の1人さ。顔、見たいか?」


「別にいいよ。それより僕達今カラオケの最中なんだ。早く戻りたいんだけど…。」


…どう考えても敵との対話に見えない。

緊張感ゼロっていうかむしろマイナスだ。

でもまあそこはウゴクンジャーとダークキャン・D。


「そうか。悪かったな。じゃあ、また来週。」


「うん、謝ってたって伝えとく。」


電話は切れた。

週一はそれをポケットにしまうと、大きく伸びをした。


「トイレ行ったら、また歌おっかな。」

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