2-18.四天王『双剣のウェキス』
シャッ!!
ウェキスの刀が綾の裾を切り落とす。
「ま、またっ!!」
声をあげる綾の服は数分前のものとは別物になっていた。
タートルネックの長袖だったのに、いつの間にか半袖のTシャツだ。
しかもヘソ出し。
「この変態植木鉢がっ!!」
ローキックを繰り出す沙紀の制服もかなり短くキワどくなっている。
このままいくとマニアさん用の18禁制服になっちまいそうだ。
「はははっ、威勢がいいなァ。好みだぜ?そういう女。」
いろんな意味で怒ってる綾と沙紀だが、ウェキスは余裕の笑顔で相手をしている。
やっぱり武器の差は大きいようだ。
綾も沙紀も刀を持ってる相手に突っ込むなんてできない。
「ちょっと!女の子相手に、しかも武器なんて卑怯よ!!素手で戦いなさい!素手で!」
綾がヒステリー気味に叫ぶも、ウェキスはニヤニヤして舌を出す。
「ま、安心しな。俺は女を傷つけるようなヤツじゃねぇからさ。今日はストリップだけで勘弁してやるから。」
…やっぱりコイツは服を全部切り取るつもりのようだ。
綾と沙紀は小さく舌打ちする。
「…綾さん、ヤバいね。このままだと本当に…!」
「うぅ、そうなったらどうやって帰ればいいのよぉ…。」
2人は飛び退き、ウェキスから距離を取った。
「あたしに着物と薙刀さえあれば…!」
忌々しそうに沙紀が呟く。
一方の綾はもうすでにどうやって帰るかなんて負けた時のことを考え始めていた。
週一から服をハギ取るとか。
そんな2人にウェキスは笑みを向ける。
「さてと、そろそろ本番いくぜ?俺の最初の見立てだと…そっちのヒステリーお嬢さんはズン胴だからAかB。で、気の強くてスタイル抜群な方がC、もしかするとDあるかもな?それが正しいかどうか確かめてやるぜ。」
その台詞に綾が眉を顰めた。
「ちょっと待って。そのアルファベット…何?」
「ん?ああ、バスト。女体の神秘。」
笑顔で答えたウェキス。
その答えを聞いた瞬間、綾は目を見開いた。
ご立腹だ。
「な、な、なっ…!!何よ!!私が沙紀ちゃんより小さいって言うの!?それに私がズン胴で沙紀ちゃんはスタイル抜群って、そんなこと、」
そして彼女はちらっと隣の沙紀を見た。
「…そんなこと…あるわけ…。」
そこまでしか言えなかった。
がっくりとうなだれ、片膝をつく綾。
心理的なクリティカルヒットを喰らったようだ。
「ちょっと、綾さん!?」
なぜか戦闘不能に陥っちゃった綾を沙紀が揺さぶる。
でも綾は再び沙紀の胸を見ると、今度は力なく座り込んでしまった。
「…私、もうダメみたい。何だか自分に自信が…。」
『人は容姿にあらず、だ。』
綾の声を掻き消すように、何者かの声が拡声器から聞こえた。
「…?」
綾と沙紀、そしてウェキスはその方向に振り返る。
そこには…案の定、ヤツの姿があった。
『まずは知れ、人の好みは千差万別だということを。…下らない価値観に振り回されるのはヒーローのすることじゃない。』
多分掃除道具か何かが入っているだろう物置小屋の上に、拡声器を持った冥介がいた。
前回の対カイネ時の失敗から学んだのだろう、傍らには梯子が立て掛けられてある。
冥介はニヒルに笑みを浮かべると、拡声器を放った。
「…待たせたな、甲虫に蝶。それに転がってる蟹。」
そして慎重に梯子を使って物置小屋から降りる。
登場が登場だけにその姿はカッコ悪いを通り越して情けなかったが、3人はそんな彼を何も言わずに見守っていた。
「四天王ウェキス。お前の非道、一部始終見させてもらった。…か弱き乙女の服をリフォームし、なおかつそのスタイルを勝手に推測する。それが例えどうしようもない真実だとしても、俺はお前を…、」
冥介は目を閉じ、ゆっくりとペンを持った腕をウェキスに向ける。
そしてカッとその目を見開いた。
「許すわけにはいかない!!」
彼は片方の腕に文字を書き殴る。
「接着!ウゴクンジャーッ!!ヒュドラ!!」
こうしていつもより凝った演出でウゴクンジャーヒュドラが参戦したのだった。




