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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION2-破甲と双剣-
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2-15.意外な交流

歐邑家を出て20分後、週一は駅前のスーパーにいた。

もう今日は予定がないから家に帰るだけって彼だが、駅に寄るついでに買い物でもしてこうと思って寄ったのだった。


「あとは…牛乳でも買ってこっかな?」


買い物カゴにチーズとちくわを入れた週一は、安売りの鶏肉をカゴに追加しながら呟く。

そして大好きなカニカマボコを手に取る。

その時だった。


「週一。」


誰かが肩を叩いた。

…誰かってダレ?

週一のことを『週一』と呼び捨てで呼ぶのは親や一部の親戚だけだ。

友達はだいたい『蟹令李』って苗字で呼ぶ。

まあ、綾や憬教授は名前で呼ぶけど君づけだ。

しかも声の主は女の人。そんな知り合いいないはずだ。

でもまあ、振り返れば分かるやって思って振り返った週一はその場で凍った。


「買い物か。奇遇だな。」


ちょっと前に戦ったばかりの強敵、カイネがそこにいた。


「う…、うあ…!!」


思わず腰を抜かして座り込みそうになった週一をカイネがさっと回り込んで支える。

お陰様で店内で座り込むっていうイタいことはせずに済んだが、彼の恐怖は極限だった。

…なんでここにカイネが?まさか、僕を殺しに!?本名言ったのマズかった!!

脳味噌真っ白になった週一は口をパクパクさせながらも自分の足で立ち、ゆっくりと後ず去る。

すると週一の怯えに気付いたか、カイネはにっこりと優しく微笑んだ。


「怯えなくていい、痛いことは何もしないから。ほら、全然殺気もないだろう?」


「そ、そんなこと言って僕をボコボコにするんじゃ…?」


怯えた表情で言う週一だが、手にしたカニカマボコはしっかり握っている。

肝が据わってるんだか何だか分からない。


「しないしない、絶対しないから。私はただ買い物に来ただけだからな、ホラ。」


カイネが自分の買い物カゴを見せる。

中にはたくさんの食材とお徳用の醤油が入っていた。

確かに買い物中のようだ。

こんなモノを持って戦いを挑む敵なんていないだろう。


「…分かった。信じる。」


…だからって信じる週一も週一だが、コイツの脳味噌は全か無かの法則。

よく言えば素直、悪く言えばアホだ。


「うむ、信じてもらえて嬉しいぞ。…で、お前は何を買っているんだ?」


「食材だよ。」


週一の買い物カゴに入っているアイテムは牛乳に鶏肉、チーズにちくわ。

何を作るのか全く不明なチョイスだ。


「家のお使いか?」


「僕はこれでも1人暮らしなんだ。お使いじゃなくて、自分で作るために買ったんだよ。」


すっかり警戒心を解いている週一。

その順応能力は流石と言わざるを得ないを通り越して呆れるばかりだ。


「1人暮らしか…。偉いな週一は。だがそれでは栄養が偏るぞ?お前の買い物カゴにも野菜が1つもない。」


「…野菜料理なんて知らないから…。」


「炒め物はどうだ?油をしいて炒めればいい。味付けも楽だぞ。」


「炒め物かぁ…。それくらいならできそうかな?」


カイネは微笑むと、週一の買い物カゴの中味を取り、自分のカゴに入れた。


「あっ、それは僕の…、」


「私が買ってやる。野菜も分けてやろう。…他に欲しいものはないか?何でも買ってやるぞ?」


--------------------------------------------------

数十分後、週一とカイネは同じ電車に乗り、帰路に着いていた。

ガタンゴトンと、何だか心地よい振動に身を任せ、2人は隣り同士に座ってカイネの買ったミカンを食べている。


「でも本当にありがとう。野菜を分けてもらって、それに蟹缶とカニクリームコロッケまで買ってくれて。」


自分が今話してんのが敵の四天王で、しかもつい先日ボコボコにされたってのに、脳味噌ボンバーな週一君は大好きな蟹を買ってもらった嬉しさで完璧に警戒心を解いている。

敵幹部と仲良くお喋りなんて正義のヒーローのすることじゃないんだが、まあ、それはコイツがウゴクンジャーだから仕方ない。


「お安い御用だ。それよりどうだ?このミカン、美味しいだろう?こう見えても私は食材選びの眼力は確かなんだ。」


「うん。甘くて美味しい。」


笑顔で言う週一。

今日はサワガニこそGETできなかったものの、久々に蟹料理(っていっても缶詰とコロッケだけど)が食べられるのだ。嬉しさ爆発だった。


「それは良かった。」


カイネも優しさ満載の微笑みで週一の嬉しそうな笑顔に応えた。

と、けだるそうな駅員の声でもうすぐ次の駅だと放送が入る。

週一の降りる駅はここだ。


「あ、そろそろか。じゃあ僕は降りるから。」


買い物袋を持ち上げて立ち上がる週一。

するとカイネも同じように立ち上がった。


「帰るか。ならば私もアジトに帰るとするか。」


彼女はあんまり人のいない車内の通路に立った。

そしてポケットからよく分からんスイッチを取り出す。


「またな。」


カイネがそう言って軽く手を振り、ポケットから出した例のスイッチを押す。

途端に彼女の姿が妙な感じに歪み、消えていった。

…まあ、恐らく宇宙の科学ってヤツだろう。

原理は不明だが、きっとアレでカイネはアジトへ帰っていったに違いない。


「凄いなぁ、宇宙科学。…でも、あれで帰れるんなら何で電車に?」


首を傾げる週一。

でもその疑問が解明される見通しはまだなかった。

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