2-8.四天王『破甲のカイネ』2
戦隊モノっぽく全員揃って変身したウゴクンジャー。
で、戦況が好転したかって言うと…そうでもなかった。
「パト◯ッシュ…僕もうなんだか…。」
お約束通りに蟹は1発KO。
ぴくぴくしながら何かうわごと言ってる。
「くそっ!降りられん!!誰か脚立を持ってきてくれ!」
一生懸命公衆トイレから降りようと悪戦苦闘しているヒュドラ。
この調子ではやはり戦線復帰は無理だろう。
「…やっぱり変身はしない方が良かったな。このタクティカルフレーム重くて。」
重戦車みたく装甲の厚い(厚すぎ)クラゲはその重さのせいで行動不能に陥っていた。
そういえば、カカシタゴサーク戦でも変身したのはタゴサークを押し潰す瞬間だけだった。
何にせよ、援軍の到着と変身によって戦えるウゴクンジャーは実質2名になってしまった。
これじゃ最初と変わらない。
「このっ!!」
「遅いな。」
甲虫の渾身の拳は受け止められ、捻って投げられる。
「だっ!!」
「まだまだ。」
蝶の回し蹴りも片手で受け流され、ガラ空きになった背を殴り飛ばされた。
…やっぱりウゴクンジャー甲虫が加わったくらいじゃカイネには太刀打ちできないらしい。
でもカイネらダークキャン・Dにダメージを与えられるのはタクティカルフレームに選ばれたウゴクンジャーのみ。
何だか将来が不安だ。
「つ、強い!!」
「ちっ!こっちは本気だってのに!!」
甲虫と蝶はカイネから間を取り、構え直す。
カイネは鼻を鳴らした。
「ふん、期待外れだったな。そろそろお遊びは終わりにさせてもらおう。」
次の瞬間だった。
一気に間合いを詰めたカイネが甲虫の腕を掴んだ。
「!?」
「綾さん!!」
蝶が助けようとする間もなく、甲虫はポイって放り投げられた。
で、地面に背から叩き付けられる。
「うっ…!」
一瞬呻き、そのまま甲虫は気を失った。
これで残るウゴクンジャーは蝶1人。
まあ、公衆便所の上で困っているヒュドラと、自分の装甲の重さのせいで動けないクラゲがいるけどコイツらはカウント外だろう。
「くっ!」
甲虫を投げた直後に隙を見た蝶がカイネの胸に蹴りかかる。
しかしその隙を突いた攻撃も受け止められてしまった。
「よくやったと言うところか。だが、これで終いだ。」
口元を歪めるカイネ。
「『ホバリング』!!!」
「!?」
蝶の声と同時に彼女の足から斥力のような力が弾け、カイネはその手を離す。
特殊能力の応用ともいえる使い方だ。
そのまま蝶は加速付けた脚でカイネの脇腹を蹴る。
そしてガードが間に合わなかった相手の太腿、そして脹脛を続けざまに蹴った。
「ッ!!」
カイネが舌を鳴らし、力任せに蝶を突き飛ばす。
しかし蝶は地面に足が着く瞬間にホバリングをカタパルトのように使い、カイネに突っ込んだ。
「だあっ!!」
ドンッ!!
加速して威力倍になった鋭い蹴りがカイネの腹にモロに入った。
「…くぅっ!」
初めて苦悶の表情を見せるカイネ。
それを見たヒュドラとクラゲは歓声を上げた。
「沙紀!そのままやっちゃえ!」
「よくやった蝶!後は俺に、」
身を乗り出したヒュドラの声がそこで途絶えた。
公衆便所の上から落っこちたのだ。
そして昏倒。
これで名実ともにヒュドラは戦闘不能となった。
戦ってないけど。
「…ふむ、その能力…ちと邪魔だな。」
少しだけよろけたカイネは、目を細めた。
「あたしだってバカじゃないんだ。使えるもんは使わないとね。」
ホバリングを使っての戦いにあの一瞬で慣れた蝶は、軽いステップを踏みながら構える。
「では見せてやるとするか。『破甲のカイネ』の能力、その目に焼き付けるがいい。」
カイネの額に描かれた紋章が光を発する。
「…?」
今までの怪人の特殊能力はどれもアホなものばかりだった。そんなヤツらを束ねてる四天王だからどうせアホなものだろうけど…。
しかし用心に越したことはない。
蝶は身を固める。
「…喰らうがいい。ストリップ・レイ!!」
カッ!!!
眩い光が蝶を包み込んだ。




