16-4.ゼペトパペット2
「じゃあ試してみます?もしかすると奇跡が起こって『ご主人様の想いが私の記憶を甦らせたんです!』とかなるかもしれませんよぉ?」
タッ…!
砂浜の砂を弾けさせ、ゼペトパペットは冥介に飛び掛る。
「くっ!」
避けようとするが、反応が鈍い。
ゼペトパペットと名乗った少女の姿が目に映ると、それだけで身体が硬直してしまう。
ガッ!!
「がぁっ!?」
胸を突かれ、冥介は再び砂浜に転がった。
その様子にゼペトパペットは声を上げて笑う。
「あははっ♪いいですねぇ!さいこ~です!!ザコ怪人さん達や四天王までも苦戦したウゴクンジャーがまるでお人形ですぅ♪」
彼女は角材で倒れている冥介の腹に追撃を叩き込む。
容赦など一片もない攻撃だ。
「ぐあっ!がっ!?ひ、ひよ・・りっ…!!」
「は~い?そう、その調子ですぅ!何だかほんのチョッピリ思い出してきたような気がしないでもないですよぉ?あはははっ!!」
ガッ!!ドカッ!バキッ!!
角材に血が付着してくる。
普段は戦闘らしい戦闘もせず、怪我をすることもなかった冥介が傷だらけになっていく。
しかし、それでも彼は反撃できなかった。
「そうだ、人質さんにも痛い目に遭ってもらいましょ~か?あなたはこの姿ってだけで反撃できないみたいですしぃ、人質さんも傷付いた方が精神ダメージ大きいっぽいですしね!」
「!!」
「さ、チンパンG。その人を適度に痛めつけてあげて下さい♪殺すのはアレですけど、半殺し程度ならOKですからぁ♪あははははっ!!あ、そうですねぇ、顔とかに消えない傷付けちゃって、」
バシッ!!
「きゃっ!?」
そこまで言った時、ゼペトパペットは足払いを掛けられて宙に浮く。
彼女の視界に冥介の翻る黒ジャケットが映った。
ヒュッ…
冥介は冷たい瞳で彼女を見据え、足払いのモーションを利用して立ち上がる。
そしてそのまま、回し蹴りを宙に浮いたゼペトパペットの腹に叩き込んだ。
「!?」
ゼペトパペットは吹っ飛び、アイを囲むように立っていたチンパンG2体を巻き込んで砂浜に叩き付けられる。
「!?なっ!何で、」
ザッ…
ダメージよりも驚きの方が大きい。
起き上がろうとした彼女に翳が差した。
目を見開き、翳の主を見上げるゼペトパペット。
その顔からは、笑顔は消えていた。
雨は激しさを増してきている。
薄暗い海岸、雨と波の音が支配するその場所でヒュドラブレードの光刃だけが淡い光を放っていた。
「…ちょ、じょ、冗談ですよね?ホラ、私をよく見て下さいってぇ。リバース、じゃなくて日和にそっくりでしょ?ね?思い出とかあるんでしょ?」
ゼペトパペットは引き攣った笑みを無理に造る。
彼女を見下ろす冥介に表情はなかった。
額から流れる血、口元に付いた血を拭おうともせず、静かな目で見詰めている。
「あ、今思い出しました、ええと私です、日和です。八又…ご主人様のお陰で目が覚めました。あ、あははは♪」
「…。」
「あ、あはは、……ッ!!もうっ!何でよぉ!!」
ゼペトパペットの腕が角材に伸びる。
刹那。
…光刃が煌いた。




