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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION15-一大決心-
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15-4.こんなところで激闘

「月価・麦慟蕎ッ(げっか・ばくどうきょう)!!」


引いた両腕を同時に突き出してのダブル掌抵を放つビイ。

また新しい奥義を作ったようだ。

でもしっかり技名には『蕎麦』と『月』が入ってる。


「はッ!!」


対する沙紀は普通のパンチだ。

でもきっとパンチ力は週一の数倍。

あなどれない。


バチッ!


攻撃は激突し、そして弾かれる。

何だか威力は互角みたいだ。

2人は弾かれた反動を利用して再び攻撃を放つ。


「凹月蕎拳ッ!」


「だッ!!」


「凸月麦蹴ッ!!」


「はぁッ!!」


相殺がこれで3連続だ。

しかし明らかにビイが劣勢。

沙紀は通常攻撃しか出していない。


「きょ、強敵ネ!でも負けないアル!!」


拳を握り締め、ビイは構えを取った。

気合と大振りなモーションからして大技だろう。


「あのタクティカル女に対抗するため、ワタシ頑張て作た技ネ。これでアナタも昇天決定アル!!」


「あのタクティカル女…?」


きっとカイネの事を言ってるんだろうけど、もちろん沙紀には何のことやらさっぱりだ。

でもビイが放とうとしてるのが彼女の最高技だってことは理解できた。


ザッ…!!


体勢を低くし、右腕を振りかぶるように掲げる。

沙紀の古武術とも、それまでビイがやっていたエセ中華拳法とも違う構えだ。


「寛和流蕎麦闘術奥義…琥月連こげつれん!」


ちなみに寛和流なんていう流派はないし、蕎麦闘術なんていう武術もデタラメだ。

でも奥義。

とにかく奥義なのだ。


バッ…!!


地を蹴り、飛び掛かりながら右腕で掌抵を正拳突きみたいなフォームで放つ。


「…。」


威力はありそうだけど軌道はバレバレなその掌抵を沙紀は楽にかわす。

その瞬間、ビイは回転して左肘を沙紀の横腹に放った。


「麦雅ッ(ばくが)!!」


「ッ!!」


しかし流石は沙紀。

突っ込んできたスピードが上乗せされた肘鉄を横から掌抵を叩き込むことで軌道を変え、捌いた。


「破蕎ッ(はきょう)!!」


すると今度は左肘と身体によって死角にしていた右腕からアッパーが放たれる。


「くっ!!」


一瞬の反射神経で沙紀はその攻撃をガードした。

いい連携だ。

普通なら『麦雅』の時点で攻撃を喰らうか、今の『破蕎』で沈んでいるだろう。


「月価ッ(げっか)!!」


そう思ったのも束の間、ビイの連携は終わってなかった。

アッパーが防がれた瞬間、彼女は左脚払いを放ったのだ。


「!?」


ダメージは殆どないけど、よろめかせる効果だけは抜群の脚払い。

それまでの攻撃が上中段ばかりだった油断から、攻撃をまともに喰らった沙紀は体勢を崩した。


「麦慟蕎ッ(ばくどうきょう)!!!!」


そんな彼女に放たれる例のダブル掌抵。

何とかガードは間に合ったものの、所詮はとっさの防御。

両腕は弾かれ無防備になる。


「成功ネ!追撃アルっ!!」


嬉しそうにビイはそんな沙紀に飛び掛った。

しかし。


「うざったいッ!!」


ズンッ!!


恐ろしい速さで繰り出された拳がビイの腹にめり込んだ。

…見事な連携だったけど、どうやら沙紀には無駄な抵抗だったようだ。

所詮コイツもザコ怪人ってこと。


「がっ!?」


目を見開き、ビイは短い悲鳴をあげた。

そのまま膝を折りそうになったが…脚を踏ん張って持ちこたえる。

そして彼女は腹を押えながら飛び退いた。


「…くっ…あぅっ…!!馬鹿力ネ…!!吐きそうなたヨ…。」


「言ったよね?手加減しないって。…もう無駄なことは止めてさっさと退いた方が身の為だと思うけど?」


「正義は負けないアル!!アナタみたいな悪人、のさばらせるわけいかないネ!」


まだ腹が痛いのだろう。

辛そうな表情のままビイは叫ぶ。


「…はァ、何を勘違いしてるのか知らないけど…いい加減面倒だね。一気に潰して、それから考えるかな…。」


呆れたように呟き、沙紀は目を鋭く細める。

マジでいく気らしい。

…何だかこのまま沙紀の勝利で戦闘終了の予感。

一応週一がこっちへ向かってきてるんだけど…やっぱり間に合わないのか?


◇◇◇


「あ、週一君だ。やっほー。」


200mくらいダッシュして早速バテた週一の背中に元気な声が掛かった。


「綾?何でこんな所に…?」


振り返ると案の定、そこには相変わらずのアホ面でいる綾がいた。

片手に酒屋のビニール袋を持ってる時点でマトモな女子大生失格って感じだ。

ちなみにビニール袋の中身は日本酒×2。


「週一君の知り合いだって言う中国の人がいる蕎麦屋さんに行こうと思って。週一君の親友ですって言えば安くしてくれる確率大だし、それにハッキリ週一君との関係も聞かないとね!」


「人の名前を使って値切るのはちょっと…それと、行っても今は鎖雪が留守番してるだけだぞ?店は休業中だし。あとさ、僕との関係なんてのは単なる知り合いだよ。」


疲れた顔して(事実バテているが)週一は言った。

でも綾は邪推したようで疑惑の目で彼を見る。


「ん?ってことは週一君、今まであの人の店にいたってことだよね?休業中なのに。やっぱり2人はラヴな関係とか?まあ、確かにラーメンどんぶり被ってるのと妙な服装はアレだけど、けっこう可愛かったしね。恩を売ってGETなんて…週一君もなかなか鬼畜だね。許せない。」


週一は溜息を吐いた。まあ、無理もないけど。


「行ったのは蕎麦無料って言われたからだって。それと恩を売ってGETって…しないよ。そんな事。」


「ホントに?週一君が彼女GETするなんてダメなんだからね!」


ビッと指を突き付けて言う綾。


「何でだよ?もしかしてお前、実は僕にラヴとか?」


綾の台詞から考えるとそういう可能性も否定できない。

それにしても沙紀とかの気持ちには全然気付かないくせに、こういう時だけ…。

本当にコイツ、ダメだ。


「私が週一君に?あはは、冗談きついって!私より先に恋人GETして幸せになるのは反則ってだけだよ。それに週一君、タイプじゃないし。」


「お前…まあいいけどさ、何だよ反則って。」


さっきより大きな溜息が自然と出る。

でも流石は綾。

面と向かって自分より先に幸せになるなとか、タイプじゃないとか…オマエラ本当に親友ですか?って感じだ。


「まあまあ。で、何を急いでるの?」


「ん?ああ、何か歐邑と中国の人…ビイが喧嘩しそうなんだ。だから萌木公園に急いで行って止めないと。」


「?…何だかよく分からないけど、私も一緒に行こっか?蕎麦屋さん休みなら行ってもしょうがないし、どうせ暇だしね。」


「どっちでもいいよ。でも…何だかすでに手遅れな予感。」


…そうだ。

こんなことしてる間にも…。

でもまあ、週一オンリーより綾がいた方がいいだろう。

間に合えばの話だけど。

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