表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION15-一大決心-
204/213

15-3.女の闘い

「セ、センパイっ…!!あの、わ、私っ!」


「罪なきヒトを苦しめる悪女、このワタシが成敗してやるアル!!」


…決意を胸に振り返った沙紀の目の前に立っていたヤツ。

それは待ち人じゃなかった。

性別が違った。

ってか知らないヒトだった。

拳法着を着て頭にラーメンどんぶりを被るような知り合いなんぞいない。


「…。」


顔から熱が一気に引いていく。

沙紀は自分が平常心を一瞬にして取り戻したのに気付いた。

ついでにもの凄い脱力感に見舞われる。

緊張していたぶん、強烈だ。


「…誰?あんた。」


だからやたら機嫌の悪そうな(事実悪いが)目付きで相手を睨んだ。

口調も不機嫌さが滲み出ている。


「悪に名乗る名前ないヨ!無実のヒト虐めて何が楽しいカ?許さないネ!!」


「はァ?何言ってるのか知らないけど…待ち合わせしてるんだからどっか行ってよ。変人に付き合ってる暇はないんで。」


「その相手は来ないアル。ワタシが今、アナタの魔の手から匿ってるネ。」


そいつ…ビイはエセ中華拳法の構えを取りながら言った。

沙紀は眉を顰める。


「…センパイを、蟹令李週一を知ってんの?」


「もちろんヨ。アナタみたいな凶悪人には関係ないネ。」


「…もしかしてあんた、ダークキャン・D…?」


「ワタシはあんな外道と違うヨ!むしろ正義の味方アル!さあ、どこからでも掛かって来るヨロシ!正義は勝つネ!悪は惨めに敗北ヨ!!」


「!!…へぇ、ま、どうでもいいけど…アンタ、イラつくね…。」


折角の決意を邪魔されて気が立っている沙紀なのだが、外道とか悪女とか凶悪人とか、普段は鼻で笑い飛ばせるような挑発も効いてしまった。


ヒュッ…


何のモーションもなしに沙紀の拳が突き出される。

それはビイの目の前で止められた。いわゆる寸止めってヤツだ。


「!?」


直前まで反応できなかったビイが目を見開く。

沙紀はそんな彼女を睨み付け、言い放った。


「…センパイの知り合いだか何だか知らないけど、あたしが本気で怒る前に消えな。」


ブオッ…


沙紀の頬を風が撫でる。

顔の真横にビイの脚があった。

こっちも寸止めだ。


「…へぇ。大人しく消えるつもりはない、か。」


こっちは目を見開いたりはしなかった。

蹴りの軌道が見えていたのだ。

ビイが寸止めすることも。

…それは沙紀の方がビイより上だという意味でもあった。

それを知ってか知らずか、ビイはゆっくりと脚を下ろすとほんの少し身を引く。


「…これは苦戦必至みたいアルね。」


少し間合いを取った2人はそれぞれの構えを取った。


「手加減、しないよ?時間ないしね。さっさと終わらせる。」


古武道っぽい構えの沙紀。

カイネのような隙がありそうでない構えではないものの、威圧勘はバッチリだ。


「カニさんのためアル!負けないネ!!」


やっぱりエセ中華拳法の構えのビイ。

それなりに型にはなっているから、一見すると強そうに見える。

…互いの間を風が吹き抜ける。

沙紀の一大決心の場が、いつの間にやら戦闘修羅場。

で、その原因となった馬鹿は現在蕎麦屋で留守番中。

これからどうなるんだろう…。

何にしても沙紀、運悪すぎ。


◇◇◇


「それで…アタシはここで待ってればい~の?」


寛和蕎麦には鎖雪が着ていた。

週一が呼んだのはコイツだったらしい。

まあ、確かに綾を呼んでも仕方ないし、冥介は役に立たない&携帯番号知らない。

憬教授はアレでも一応教授だから呼び出せないから…仕方のない人選だったのやもしれない。


「悪いな、さゆ。何だか歐邑と中国の人が対戦しそうな予感がするんだ。」


週一が疲れた顔して言う。

その予感はもうすでに的中してるけど。


「中国の人?」


「そう。拳法着姿で頭にラーメンどんぶり被ってる人。以前、ダークキャン・Dに襲われてるのを助けたら何か感謝されて…その後会った時に酷い生活してたからアパートとか紹介してあげたら余計感謝されてさ。恩返しの強行を喰らってる。」


「義理堅い人なんだね。」


「…僕としてはあんまり恩人恩人言われるのはちょっと…。」


力なく笑い、彼は立ち上がった。


「ま、そういうわけで留守番よろしく。わざわざ来て貰って悪かったな。埋め合わせは今度必ずするから。」


「ちょうど近くにいたから別にOKだよ。あ、でも埋め合わせはしてもらおっかな♪」


「何がいいか考えといて。んじゃ。」


シュバって手を挙げ、店から飛び出す。

ビイが店から出て15分、もう彼女は萌木公園に到着しているだろう。

原付だし。

そして週一が目的地に到達するのはダッシュで行って10分。

でもきっと途中でヘバるから15分だ。

戦闘は終了してる可能性が高い。

しかし急げ週一!もしかすると間に合うかもしれない!

間に合っても解決できる確率10%未満だけど、それでも一応主人公。

走れ週一!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ