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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION14-日本終了のお知らせ-
200/211

14-9.二人のエピローグ3

「そっか、だからあの怪人…じゃなくてコノハさんはキレてたんだ。」


2人のお邪魔にならないようにあの場から去った週一達。

歩きながら話していた沙紀が呟いた。

コノハは怪人だけどああいう状況になっちゃったからコノハさんって呼んでる。


「2人は凄くラブラブでしたよ。それでちゅう兄が死んじゃったと思って、爆発しちゃったんだと思います。アタシ、前に1回会っただけだけど、コノハさんって普段は凄く優しいお姉さんでしたから。」


そう言って鎖雪は笑った。


「でも良かった。これで万事解決!ちゅう兄もコノハさんも幸せ街道一直線です!」


「…納得いかない。」


憮然とした綾が口を挟む。


「沙紀ちゃんだってそう思うでしょ?週一君もお兄さんに目を覚ませって言わなきゃダメだってば!!相手は怪人なんだよ?いくらなんでもナシでしょ?」


「それは…まあ…。普通に考えれば…。」


沙紀は少し困った顔で同意する。

鎖雪の手前、声をあげて賛同するのは憚られるけど彼女としても納得はいってないのだ。

でも週一は違っていた。


「いいんじゃないかな、あれはあれで。僕が思うに、ああいうのってお互いの気持ちで万事OKなんだよ。それにちゅう兄はコノハさんが好きなんだろ?だったらコノハさんが何であろうと関係ないって。人種の違いレベルの問題だよ。」


…流石は厨の弟だ。

妹同様、心が広いって言うかアホって言うか。


「あ~もう、この兄妹は…。」


やれやれって感じでかぶりを振る綾。

しかし沙紀はちょっと驚いたような顔をして週一を見詰める。

それに気付いた週一が訊ねた。


「ん?歐邑、どうかしたの?」


「え?…ううん、別に。」


そう言って彼女は少し笑みを浮かべ、彼の頭を軽く叩く。


「カッコいいコト言うじゃん、センパイ。」


眉を顰める週一に綾も笑って言った。


「うんうん、ある意味カッコいいよ、週一君。」


「ある意味って何だよ。まあ、別にいいけどさ。」


溜息を吐く週一。

綾はヘラヘラ笑いながら彼の背をバシバシ叩いていたが、沙紀は口元を綻ばしたまま彼を見詰めていた。


「…カッコいいよ、ホントに。」


誰にも聞こえないくらい小さな声が彼女の口から漏れる。

…波瀾を乗り越えてついにグッドエンドを迎えた厨&コノハ。

そんな幸せの波は、もしかすると週一にも押し寄せるかもしれない。

本当にもしかすると、だけど。


◇◇◇


パラッ…


廃墟と化した警察署の瓦礫が動く。

そして隙間から出てくる拳銃を持った腕。


「クソ…!クソがッ…!!俺をこんな目に遭わしやがって…!!」


学習能力ゼロの男、権下久だ。

瓦礫がコンクリートだったら死亡確実だったのだが、警察署を破壊する前にアルビィネはコンクリートをコルク質の植物に変えていた。

それは多分、署内で伸した職員のことを頭の片隅で配慮していてのことなんだろうけど、この男の命も救ってしまったようだった。


「殺す!ぶっ殺す!!百ペン殺す!!!」


やっぱり学習能力ゼロだ。

あれほどの恐怖を味わったってのに、怒りでもう忘れてる。

彼は拳銃を握り締め、瓦礫の中から外の様子を窺った。


コノハと厨がまだ抱き合ってる。

しかも、物陰に隠れているお陰で彼の姿は2人からは絶対に見えそうになかった。

権下の口が醜く歪む。


「…ヒヒッ、ぶっ殺してやるぜぇ…。」


撃鉄に指を掛ける権下。

狙いは厨だった。

彼をコノハの目の前で殺し、自分の悔しさを思い知らせようってハラだ。

極悪思想だが、そんなことしたら今度こそ確実に殺されるってことまでには頭が回っていない。


カチャッ…


上がりきった撃鉄、彼は麻薬中毒者みたいな笑みを浮かべたまま引き金に指を当てた。

そして…


ガシャン!


引き金を引いた瞬間、拳銃はバラバラになって地面に落ちる。

何だかレーザーで切られたみたいなシャープなバラバラさだ。

しかしそれを不思議と思う前に、目の前に迫る拳に気付いた。


「!?」


ぐしゃっ…


声を出す間もなく、権下は鼻血を撒き散らしながら卒倒する。


「…見るなって言われたら見たくなるのが人情ってもんだぜ、カイネ。」


情けない格好で倒れた権下を見下ろし、彼の顔面に拳を叩き込んだ人物が呟いた。

大きな帽子みたいなのを被り、両手に小太刀を持ったシルエット。

正体が誰かは言わずもがなだ。

彼は大きく溜息を吐くと、小太刀を背中の鞘に差した。

そして鼻で笑い、転がる権下の背を軽く蹴飛ばす。


「この国のコトワザだ。『人の恋路を邪魔する奴ァ、馬に蹴られて死んじまえ』ってな。馬が見当たらなかったんで、ま、俺の拳で代用だ。死ぬよりゃいいだろ?」


すでに意識飛んじゃってる権下だから当然反応はない。

自称、馬の代理は再び大きな溜息を吐いた。


「ったく、それにしたって厄日だな。カイネにゃ殴られるし、コノハは何かラブラブだし。挙句の果てに俺ァ何やってんだ?…帰ろ。」


そして懐から何かを取り出し、ポチッと押す。

軽薄な音を立て、彼の姿はその場から消失した。

警察署跡地にはまだ抱き合ってるバカップル2名と、当分意識を取り戻しそうもないクズ男だけが残っている。


「厨さん…。」

「コノハ…。」

見詰め合う2人。


「厨さんっ…!!」

「コノハっ…!!」

抱き合う2人。


「…厨さん…。」

「…コノハ…。」

互いの身体を離し、再び見詰め合う2人。


「厨さん…!!」

「コノハ…!!」

何かに耐え切れなくなったのか、再び抱き合う2人。

…で、以上の行動を延々と繰り返す。

付き合ってられなかった。

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