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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION14-日本終了のお知らせ-
196/223

14-5.魔獣

「…嘘、だろ?」


警察署に向かって走っていた週一は思わず立ち止まった。

爆音と共に署の上空に現れた謎の生物。

その全長は20m以上。

植物と虫が合わさったような奇妙な形状をしており、葉とも羽根ともつかない6枚の翼をゆっくりと上下させながら浮いている。

…はっきり言って勝てそうな相手じゃなかった。


「うわぁ…、アタシ、怪獣を生で見たの初めて。」


鎖雪が呟く。

その声には怯えとかそういうのが感じられなかった。

…コイツのことだからきっと誰かが何とかするだろうとでも思っているのだろう。


「確かにシャレにはならないね。…正直、驚いたよ。」


変わらぬ穏やかな声で厨が呟く。

本当に驚いているのかどうなのか。

表情も穏やかなままだから本心は全く不明だった。


「…僕、改めてダークキャン・Dを甘く見てたって実感した。変な怪人がいても地球征服をマジメに企む軍団なんだよね。たまに強いのいるし。…でもさ、アレは反則なんじゃないかな?」


週一は引き攣った笑顔で言い、自分の持ってる蟹ブレードを見た。


「コレでどう戦えて言うんだよ?アレと。」


◇◇◇


「わぁ…凄いですねぇ。まるで映画です。」


警察署から少し離れたビルの屋上に憬教授はいた。

緊張感ゼロの口調で、表情は驚いてるっていうよりは面白がっているみたいだ。


「…ところで八又乃君は行かないんですか?沙紀さんや綾さんはもう戦っているそうですよ?」


彼女は自分の少し後ろに立っている冥介に訊ねる。


「チーフ、巨大な敵には巨大合体ロボットで応戦すると決まっています。…俺の予想だと絶体絶命のピンチに、チェンジユニットをくれた例の光がロボットを託すに違いありません。」


やたら自信たっぷりに答える。

その根拠のない自信はどこから来るのだろうか…。

それにきっと巨大ロボットは託されないだろう。

あんまり責任感のなさそうな守護者に光の球がそこまで面倒見てくれるはずがない。

ってか、多分もう会うことすらないような。


「ああ、巨大ロボットの名前は考えておきました。『キングウゴクリオン』です。とりあえず頭になる1号機に蟹を乗せ、俺は胴体となる2号機に乗るつもりです。甲虫と蝶には右腕と左腕を担当してもらい、脚は…そう、脚が問題です。現在ウゴクンジャー海月がいませんからね、この期になってメンバーの欠損が致命的になってきました。」


深刻な顔で悩む冥介。

取らぬタヌキの皮算用もいいところだ。

しかし憬教授はそうですね、と微笑む。


「私も早く巨大ロボットを見てみたいです。合体シーンはカッコいいですからね。」


…まあ、きっと今日この2人が戦闘に参加することはないだろう。


◇◇◇


「…コノハ。いや、今は魔獣アルビィネか。予想的中、最悪だな。」


ダークキャン・D要塞の幹部特別室にある巨大モニター(普段はTVとして使用)には警察署を破壊して現れた怪物が映っていた。

暗そうだけど結構な美人だったコノハからは想像が出来ないような禍々しい姿。

海老を思わせる幾つもの甲殻が重なり合ったようなボディラインで、頭部は虫に似ており凶悪そうな角が伸びている。

そして側面から出た木の枝のようなモノから葉に似た翼が生えていた。

肢はなく、代わりに無数のツタのような触手が蠢いている。

…とりあえず戦いたくないような生物だった。


「おいカイネ、お前ら最近仲良かったよな?止めてこいよ、アレ。」


腕組みをして困った顔をしたウェキスが言う。


「悪いが私も命は惜しいのでな。ああなった以上、私が本気を出しても止められん。」


「オレの絶対回避でも無理だぜ!!」


カイネに続き、訊いてもないのにキヨスクが答えた。

相変わらずのこしゃまっくれた声だが少し緊張している。

根拠のない自信過剰野郎のコイツでもコノハ…アルビィネは恐ろしい存在だと認めているようだった。


「ボクの計算によるとねぇ、日本が滅ぶまでの時間は4分23秒。世界中の生態系を破壊し尽くすまでだと…ざっと36分かな?まあ、アルビィネの考えにもよるけど、きっと無差別にやっちゃうだろうからボクらも宇宙に避難してた方がいいかもね。」


何かの機械をいじくりながらカライドが言う。

何でもないような口調だったけど内容はハードだ。

5分足らずで日本が滅ぶって…。

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