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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION14-日本終了のお知らせ-
192/233

14-1.急報

「ありがとうございましたぁ~。」


女性店員が笑顔で頭を下げる。

厨は大人しめだけど高級そうにラッピングされた小さな箱を手に、その宝石店から外に出た。

推測するまでもないけど、多分それはコノハへのプレゼントだろう。

妹の鎖雪にやるにしては高そうだし…というか鎖雪は宝石より鎖好きだし、浮気って線はコイツに限ってありえない。


「コノハ、喜んでくれるかな。」


箱を見詰め、微笑む厨。

やっぱりそのようだ。

この前コノハがようやく自分の立場に気付いたんだけど、お付き合いは特に支障なく進んでいる。

自覚はしたけど告白することもなく、そのままどんどん進んでいってしまってるといった感じだ。

…ダメだけど。


今、彼が買った箱の中身も最悪の場合エンゲージとかマリッジ系の指輪かもしれなかった。

目の前の信号が青に変わる。

夕方のこの時間は人通りが少なく、車もあんまり走ってなかった。

でも今まで悪事とかそういうモノを行ったことのなさそうな厨は丁寧に右見て左見て、もう一度右を見て横断歩道を渡り始める。

小学生でもやらなさそうな模範的行為だった。

しかし。


キッキーッ!!!


やたら激しいブレーキ音。厨はその方向を向く。

ありえないくらいのスピードでバイクが視界に広がり…鈍い感覚と共に、世界が赤く染まっていった。


◇◆◇


太平洋の微妙な位置に浮かんでるダークキャン・D要塞。

上層階ほどランクの高い怪人が控えており、最上階の1つ下の階には幹部特別室と最高作戦会議室、そして幹部の私室が存在している。

その私室の1つ、カイネの部屋に女性幹部2人はいた。


「このぬいぐるみ、とても可愛いですね。何なのですか?」


壁には銃やナイフといったミリタリーなモノが飾られ、格闘術と料理の本が詰まった本棚の上には所狭しとぬいぐるみが置いてある。

何ともカオス渦巻く部屋の中、コノハが訊ねた。


「それか。それは確か…『うにさん』だ。今日本で放送しているアニメのマスコットキャラクターなのだが…本編には全く登場しない。OP、EDの時も登場しないほどで、それが果たして本当にマスコットなのかファンの間から疑問視されている。」


「詳しい…ですね。ですが貴女がアニメを見ている姿は想像しにくいです。」


「当然だ。アニメなぞ見ん。某所から得た情報を語ったまでだ。」


某所って…多分確実に出所はヤツだろう。

それにしても本編に登場しないマスコットキャラって一体。


ピピッ


と、カイネの携帯が鳴った。

ディスプレイに女性の腕と、それに絡みつく鎖が映る。

…鎖雪だ。前回2人でどこかへ行くと言っていたが、アドレス&エンブレム交換まで果たしていたらしい。


「カイ…、ではなくてファリアだ。どうかしたのか、鎖雪。」


例の偽名でカイネは電話に出る。

しかし電話先の鎖雪の声は強張っていた。


「ファリアさん、コノハさん…近くにいますか?いたら、お願いします!」


「…?ああ、分かった。」


何か様子が違うんで怪訝に思いながらも、彼女は携帯をコノハに渡す。


「どうかしたんですか?鎖雪さん。」


愛しの厨の妹だってんで、優しい笑顔を浮かべて電話に出るコノハ。

しかし、鎖雪が喋り出すと同時にその笑顔が凍りついた。


「…。」


ボンッ!!


コノハの手にしていた携帯電話が枯葉の束に変わり、弾け飛ぶ。


「ッ!?コノハ!!?」


「…。」


カイネが声をあげたがコノハは無言だった。

力なく立ち上がり、感情の抜け切った瞳を壁に向ける。

無視してるって言うか、声が届いてないみたいだった。


「どうした!?何があった!?」


何か様子のおかしいコノハの肩を掴むカイネ。

コノハは彼女を見ようともせず、抑揚のない小さな声で呟く。


「…離して、下さい…。」


「どうしたのか言え!!今のお前…少し危険すぎる!!」


部屋のあちこちから草とか木が異様なスピードで生えてくる。

壁に掛けてあったナイフは木製に変わり、銃も朽木になって崩れ始めていた。


「くっ!!こんな所で力の解放を…!?私の部屋を森に変える気か!?」


「退いて下さいッ!!!」


「ッ!?」


ボンッ!!


コノハの身体から緑色のオーラみたいなのが爆発し、カイネは吹き飛ばされる。

彼女は宇宙金属製から朽木製に変えられた壁に激突した。

脆い朽木だから大きな穴が開き、埃やら木片が辺りに立ち込める。


「コノハっ!!」


そして力任せに身体を引き抜き、カイネが壁から這い出した時には…、


「…コノハ。」


コノハの姿は忽然と消えていた。


◇◇◇


「…まずいな。」


崩れていく自分の私室を見詰めながらカイネが呟いた。

コノハが消え、植物の成長は止まったものの悲惨な状態に変わりはない。

もうリフォームする以外にこの部屋を復活させることはできなさそうだ。


「本当に、まずい。」


彼女は腕組みし、渋い表情で遠くを見詰める。


「…日本は滅ぶかも知れん。」


顔がマジだった。

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