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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION2-破甲と双剣-
19/69

2-4.戦い終わって日が暮れて

「おいカイネ。速報だ。お前自慢の怪人、動くドールがやられたってよ。」


偵察チンパンGからの連絡(携帯電話)を受けたウェキスが苦笑しながら言った。


「…ッ!!そうか、やはりウゴクンジャー、只者ではないということか。」


唇を噛み締めるカイネ。

ウゴクンジャーが自力で倒したって思っているようだ。


「いや、車に撥ねられたんだとよ。まあ、いくら人間の2倍の防御力誇っててもなぁ、ダンプに撥ねられりゃ即死だぞ。派手に吹っ飛んだらしいからな。」


「…。」


何か微妙な沈黙が辺りを包んだ。

ニヤニヤしているウェキス、いつもは完璧な無表情なのに、口元がちょっと笑ってるコノハ、そしてどうリアクションしていいのか困ってるカイネ。

そんなアホな均衡を破ったのはカイネだった。


「覚えていろ!ウゴクンジャー!」


ありがちな台詞だけに、その場は一応締められた。


---------------------------------------------

戦い終わって日が暮れて。

そんなに長い間戦ってたわけじゃないけど集合したのが授業後だったから、もう空は薄暗くなっていた。

等間隔で立ってる街灯にも明かりが灯り始めているけど、まだ夕日の明るさの方が勝ってるといった状態だった。


「トドメを刺したのがダンプってのがアレだけど、勝利は勝利。いい気分だね。」


学校の指定品だろう地味な鞄で沙紀は週一の肩を軽く叩いた。

動くドールとの戦闘から10分ほど経っただろうか。

2人はタクティカルフレームを解除し、駅への道をてくてく歩いていた。


「う~ん、でも腑に落ちないな。『蟹ハサミ』は相手の動きを封じる技なのに…何であいつは叫びながら逃げていったんだろ?」


「ま、ナリは人形でも一応女の子だったんじゃない?気持ちは分からなくもないな。」


さっきから悩んでいる週一に沙紀は苦笑しながら言った。


「…?」


週一は怪訝な顔をする。蟹味噌レベルの彼の頭脳では理解できないようだ。


「ま、深く考えなくていいよ。それより見直したよ?あの怪物に突っ込むなんてさ。普通ならビビるよ。あたしでさえヤバいって思うヤツだったから。ヘタレそうだけどけっこう度胸あるんだね?怖くなかったの?」


「どうだったんだろ?後で怖かったことは確かだけど…。」


沙紀は眉を顰め、立ち止まる。


「どういう意味?」


「う~ん、何でだろう。目が覚めたら歐邑がやられそうになってて…気付いたら突っ込んでた。怖いって感じたのは動くドールを掴んだ瞬間からかな?それまでは何も感じなかったんだ。」


そして週一は彼らしい柔和な…というか間抜けっぽい笑顔で言った。


「ははは…正直、覚えてないんだ。情けないけど。でも恐怖とかはなかったと思う。っていうか、な~んも考えてなかったんじゃないかな。だから度胸はないよ。」


一瞬の沈黙。

沙紀は呆れたような笑みを浮かべた。


「…ったく。バカ正直っていうか、バカだね。そういうときはカッコつけなよ。女の子を助けたんだから、好感度アップとか狙わないかねぇ、普通。」


「自慢じゃないが僕の成績はそこそこいいぞ。」


「5流大学内で?」


「…うん。」


「アホ。」


沙紀は笑いながら週一の背中を1発叩いた。

そして先に歩き始める。


「…痛いなぁ…。何で高校生にバカアホ言われて、しかも叩かれなきゃなんないんだよ…。」


顔を顰めてブツブツ呟く週一は可哀相なくらい情けなかった。

でもけっこう自業自得な人生送ってるから相応しいともいえなくない。

週一が自分の人生について思いを巡らせている中、先に歩く沙紀はちらっと彼を見て口元を綻ばせた。

そして小さく呟く。


「でもまあ、あたしはけっこう…、」


「何か言った?」


「別に。」


怪訝そうにする週一。

沙紀は笑いながら再度立ち止まり、振り返った。


「よし、一応お礼はするよ。ハンバーガーでもおごろっか?」


「ハンバーガー?あ、そっか。もうそろそろ小腹が…、」


そこまで言って週一は考えた。

そして。


「ハンバーガーはいいから教えて欲しいことがあるんだけど?」


「何?タクティカルフレームについてならあたしだってそんなに詳しくないよ。」


「違うよ。歐邑の親友だって言ったよな、海月さん。彼女の家を教えてくれないか。」


「ミナの?」


沙紀の笑みにどこか翳りが現れる。

でもそういうことに鈍感100tな週一は気付かない。


「ダメかな?」


「ま、ミナはカワイイしね。気持ちは分からなくもないけど、でもね、あの娘は無理だよ。だってもう結婚してるし。」


その言葉に週一は少なからず反応した。


「結婚してるんだ。まだ高校年代なのに。…でも、何が無理なんだよ。結婚してようがしてまいが僕には関係ないぞ。」


「…あんたねぇ、ミナは新婚なの。旦那はカッコいいし。センパイみたいなのじゃ太刀打ちできないって。」


「だから新婚とか旦那さんがカッコいいとか関係ないと思うんだけど…。」


2人の考えてることが何か違う。

脳味噌ボンバーな週一なら永遠に気付かなかっただろうけど沙紀は常識人。

だから気付いた。


「ええと…もしかしてミナが好きとかじゃないの?」


「違うよ。海月さん家ってペットショップなんだよね?熱帯魚とかの。僕、サワガニが飼いたいんだ。でもこの辺りって沢がないから捕まえられないし。だから買おうって。」


一瞬の沈黙の後、沙紀が吹き出した。


「ぷっ!あははははっ!!そっか、そうだよね、センパイにそんな甲斐性あるわけないか。サワガニを飼うっていう根性からしてアホだし。あははははっ!」


思いっきり笑いながら思いっきり週一の背中をバシバシ叩く。

そして背中の痛みに涙目になっている彼に笑い混じりの声で言った。


「そういうことなら教えてあげるけどさ。でも、それだったら…、」

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