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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION2-破甲と双剣-
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2-3.怪人・動くドール

戦闘員の皆さんにさえ袋にされる蟹はともかく、蝶は強い。

だからドラ○えもんお手々のアホ人形娘なんて瞬殺…だと思われたが。


「お…お星様が見えるよぉ…。」


地べたに転がった蟹はピクピク痙攣しながらうわ言をぼやいている。

開始早々2分でのリタイア。

でもまあ、蟹はヘタレさんだから頑張った方だろう。

で、一方の蝶は…。


バンッ!


動くドールの拳…っていうか、真ん丸だからグーパン状態しかないのだが、蝶の掌で破裂音を轟かせる。


「ッ!?だっ!!」


蝶は動くドールの拳をそのまま掴み、捻ろうとした。

でもその手は全く動かない。

チンパンGを軽くのしてきた腕力がこのアホ人形娘には通じていないのだ。


「ふふふんっ♪けっこういいパワーですけどぉ、まだまだですねぇ?」


動くドールは余裕しゃくしゃくといった表情で蝶を力任せに吹き飛ばした。

そしてよろけた蝶の脇腹に蹴りを叩き込んだ。


「!!」


タクティカルフレーム越しでも蝶の苦痛に歪む表情は想像できた。

蟹なんかが喰らったら一発で天国への片道切符になりかねないローキックだ。


「こ、このっ!!」


でもさすがは蝶。

転んでもただでは起き上がらない。

動くドールの足を掴み、そのまま滑り込むように相手の脇に突っ込む。


ドスッ!!


鈍い音と共に蝶の肘が動くドールの脇腹に直撃した。

確かな手ごたえ。

致命傷とはいかなくても脇腹の数本くらいは折ったはず。


「だからぁ、効きませんって。私ぃ、防御力もスゴいんですよ?」


全然効いてませんでした…。

蝶は小さく舌打ちする。


「化けモン…ッ!!」


「こ~んなカワイイお人形さん捕まえて、化けモンはないですよぉ?ふふふっ♪」


2人はそれだけ交わすと互いを押し合って跳び、距離をとった。


---------------------------------------------------------

「で、あのドラ○もんハンドの怪人は強いのか?」


例の要塞でウェキスが訊ねる。

手に剪定バサミと盆栽っていう、何だか和やかな雰囲気だ。


「ドラ○もんハンドと言うな。本来はちゃんと5本指の手があったんだが、コーヒーを淹れさせた時に燃えてしまってな。仕方なく付けたんだ。」


カイネはムッとしたように言った後、表情を変える。


「まあいい。それより質問の答えだが、ヤツは強いぞ。通常の人間の4倍の腕力と2倍の防御力を誇っている。」


「それは…凄いですね。ですがそんな技術、ウチにありましたか?」


今まで編物をしていたコノハが談話に参加した。


「ああ、本来はその程度の技術はあるんだがな。例の特殊能力を付加すると、それだけでキャパシティが満杯になるのだ。だからチンパンGや他の怪人はショボい能力しか持っていない。」


「例の特殊能力ってまさか…。」


毎度表情が変わらないコノハの眉が僅かに顰められた。


「そうだ。動くドールは他の怪人や我々と違い、『近代兵器や普通の人間でも倒せる』。」


幹部室に沈黙が流れた。


チョキンッ


ウェキスの剪定バサミが盆栽の枝を切り落とす。


「…まあ、ウゴクンジャーがそれに気付かないことを祈るだけだな。」


衝撃の事実!動くドールには近代兵器が効く!

…でもその事実が公表されたのは遥か海の要塞の中。

もちろん廃墟で戦闘中の蝶にはそんな情報入らないし、すでに夢の世界へダイブしてる蟹にも届かない。


---------------------------------------------------------

ガッ!バシッ!ガキンッ!!


気合の入った戦闘音が鳴り響く。

あれから10分、蝶と動くドールは傍から見ても互角っていうなかなかの戦いを続けていた。

ボクシングでいうならフェザー級の対決みたいだ。

どっちの攻撃も一撃KOまでは至らないし、両方とも身軽なのでかわしたりするから勝負がつかないのだ。


「ったく!こんなにしぶといヤツは初めてだよ!」


動くドールの顔面に拳を叩き込むながら蝶が叫ぶ。


「パンチ力、落ちてるんじゃないですかぁ~?効いてませ~ん♪」


ドゴスッ!!!


蝶の腹に動くドールの拳がめり込んだ。

見事なカウンターだ。

相手の攻撃を避ける必要も防御する必要もなかったからこそ出た芸術的カウンター。

…威力は相当のモンだろう。


「があっ…!?」


苦悶の声を漏らし、蝶は地面に崩れた。

カイネの話が本当だとすると、動くドールの腕力は普通の人間の4倍。

週一を基準にすると5倍くらいの力となる。

さすがの蝶もこいつはキツかった…。


「ふぅ、ようやく終了ですね、ふふふんっ♪」


動くドールは片手で腹を抑えてうずくまっている蝶を見下ろした。


「じゃ~トドメ、いきますね。ウゴクンジャー蝶、逝ってらっしゃ~い♪すぐにあそこに転がってる蟹も後を追わせてあげますから…、」


そう言って蟹が倒れている方を一瞥した動くドールは言葉を失った。

蟹が…いない?


「あ、あれっ?さっきまでそこに転がってたのに…。」


…一体全体、蟹は何処へ?

でもまあ蟹ってザコだから放っといてもいいかな?

とか思い直した時だった。


「特殊能力発動!『蟹ハサミ』!!」


いきなり背後から飛びついてきた…というより抱き付いてきた蟹。

その瞬間、動くドールの顔が真っ青になった。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」


もの凄い悲鳴。動くドールは蟹を振り払い、一目散に逃げ出した。

そして道路に飛び出し、


キキーーーッ!バンッ!!


ブレーキ音と鈍い音が辺りに響き渡った。


---------------------------------------------------------

「これって…人形だよな?」


ハミ出た胸毛がステキなダンプ運転手はバラバラになったマネキン人形を見て呟いた。

言うまでもないが…そのマネキン人形ってのは例の怪人・動くドールだ。

顔だけは人間みたいだったんだけど、バラバラになったら顔もマネキン化してる。


「人形撥ねたって…別に犯罪じゃないよな。警察になんて届ける必要ないよな。」


ダンプ運転手は1人で頷くと、小首を傾げながらもダンプに乗り込んだ。

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