11-5.超プラス思考のポンコツさん
「ヘエ、揃イモ揃ッテ3対1カ。コレデ全テノうごくんじゃーめんばート会エタワケネ。」
冥介、綾、沙紀の3人と対峙したイミテイト沙紀は不敵に笑みを浮かべる。
凄い余裕ヅラなんだけど、それが吹けば飛んで行きそうなほど薄っぺらい。
いくらCPUが1世紀前のパソコン並なコイツでも圧倒的不利だってことくらいは分かっているのだ。
「沙紀ちゃんと同じ制服を着たポンコツ怪人…。きっと名前は『スクラップ女子高生』とかその辺ね。」
「あたしは見たまんまで『ポンコツ四神校生』とかだと思うけど…。」
酷いことを言う女性2名。
ちなみにまだ沙紀は目の前のポンコツが自分の偽物として作られた怪人だってことに気付いてない。
それほど似てないのだ。
「みんな、大丈夫!?」
「やっぱり怪人の人でしたか!?」
船内から週一と鎖雪が飛び出してきた。
これで状況は5対1に。
薄っぺらな余裕ヅラが吹き飛んだ。
イミテイト沙紀の最初から悪かった顔色がもう一段階悪くなる。
「ウッ、マタ増エタシ!仕方ナイワネ、使ウツモリジャナカッタケド…。Pまーもせっと!!」
「キィィィ!!」
×10の叫びと共にどこからかPマーモセットが現れた。
最弱の兵隊をこの数出しても意味ない気がするが、甲板の上は少し賑やかになる。
「蟹ブレード!!」
「…ヒュドラブレード!」
週一と冥介がそれぞれの武器を発動させる。
で、そんなモノに頼らずとも素手で十分に強い女性2人は指をポキポキやった。
「ヴァンカ=ヒールッ!!」
ピシッ…!
鎖雪の声と共に空間に亀裂が入り、ガラスを割るみたいにヴァンカ=ヒールが姿を現す。
そして左右2対のミサイル発射口をPマーモセット達に向けた。
「…ヤケニ不利ニ見エルノハ、アタシノ気ノセイカシラ?」
戦闘モードに突入したウゴクンジャー+ヴァンカ=ヒールを見て呟くイミテイト沙紀。
きっと気のせいじゃない。
普通に不利だ。
でもそこは超プラス思考のポンコツさん。
何度か1人で頷いた後、気を取り直したように明るい声をあげた。
「マア、頑張レPまーもせっと!キット何トカナルワヨ!GO!!」
「キィィィィィ!!!」
再び雄叫びを上げるPマーモセットだったが、やっぱり結果は火を見るより明らかだった。
◇◇◇
「てやっ!」
べしっ!
蟹ブレードがPマーモセットの背中を殴打する。
で、耐久力皆無なザコ兵は卒倒した。
「おォォォォッ!!カイゼルバーストッ!!」
バコッ!
冥介の放った必殺技(と言っても名前だけ。実際は通常攻撃と変わりなし)がザコ兵を吹っ飛ばす。
「おしまいッ!!」
ドッ!!
綾は1本背負いを極めていた。
Pマーモセットは軽いため、地面にバウンドして伸びてしまう。
何か悲惨だ。
「だッ!!」
バキッ!!
沙紀の正拳突きがヒットし、Pマーモセットは空高く舞って海へ落ちていった。
「マイクロスタンミサイル、撃てッ!!」
ボンボンッ!!
小規模な爆発を巻き起こしてヴァンカ=ヒールが敵を1体撃墜する。
ちょっぴり焦げ目が付いたPマーモセットは少しだけふらふらすると、そのまま甲板に崩れていった。
その時点で10体いたPマーモセットは全滅。
後には固まってるイミテイト沙紀のみが残った。
「ウワァ…、全滅ナンテアリナワケ?Pまーもせっと、弱スギジャナイ。」
戦闘開始から1分足らずでこの結果だ。
イミテイト沙紀は大きく溜息を吐き、頭を抱えた。
それにしてもロボットのくせに人間臭い仕草をする。
「デモ凹ンデル暇ナンテナイワネ。コウナッタ以上、アタシガ頑張ラナキャ。」
気持ちの切り替えが早いヤツだ。
さっきより不利な状況になったにも拘わらず、ファイティングポーズを取る。
「…みんな、こいつは僕が倒す。手を出さないでくれ。」
と、週一が1人前に進み出て仲間たちに言った。
「こいつとは前に一戦交えたんだ。だから前の続きで僕が決着を付ける!」
前に戦ってコイツが弱いことは証明済みだから強気でいる。
それに、たまにはこうして戦ってないと役立たずの烙印がレリーフ並の深さになってしまうだろう。
もう地に付いてるだろう名誉を少しでも挽回するチャンスだ。
「久シ振リネ、蟹令李週一。アタシモコノ前ノ決着ヲ付ケタカッタノヨ。トコロデ蟹令李週一、ふるねーむデ呼ブノ面倒ダカラ『しゅう』ッテ呼ンデイイ?戦闘中ノ呼ビ名ハ短イ方ガイイシ。」
「別にいいよ。」
「ホント?ジャア、アタシハ『沙紀』デイイワヨ。アナタ、歐邑沙紀ノコトヲ『歐邑』ッテ呼ンデルミタイダカラ被ラナイデショ。」
「分かった。じゃあ、勝負だ!!」




