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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION2-破甲と双剣-
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2-1.ダークキャン・D四天王

「カカシタゴサークが死んだってよ。」


太平洋の微妙な位置にある、例のダークキャン・D要塞で若い男の声が言った。

やっぱり正体は謎らしく、暗いその部屋では彼の顔を窺い知ることはできない。

と、思ったのだが。


パチン!


スイッチを押す音と共に部屋に照明が点いた。


「あ、照明が直ったのか。」


…そういうわけで今まで暗かったようだ。

明るくなった部屋は半分フローリングで半分畳敷きという和洋折衷…というか、敵のアジトっぽくない部屋だった。

しかも真ん中にはちゃぶ台が陣取り、パイプ椅子とソファ、座布団が乱雑に置いてある。


「特殊なランプを使用していましたから、取り寄せに時間がかかってしまいましたね。」


電気を点けたのは、例の冷静な女性の声の主だった。

外ハネと内ハネが混在する栗色の髪をしたその女性は、ブラウンの大人しそうな地味めの服を着ており声の通り物静かな雰囲気を醸し出している。

ただ、右目を葉っぱが眼帯のように覆っており、葉で隠しきれない頬の辺りに痛々しい裂傷跡のようなものが見受けられた。


「だから普通の照明にしろって言ったんだ。ったく、いくら幹部特別室だって言っても、こう環境悪ぃと滅入るぜ。」


そういう青年はなぜか植木鉢を帽子みたく頭に被っていた。

何かアホみたいだが、ちょっぴり斜めに被っているお陰でなかなかカッコよく見える。

服装は赤い作務衣に似た着物で、コイツの趣味が常人には理解できそうにないことを知らしめていた。


「ウェキス。せっかくマスターが厚意で特別照明にして下さったのです。文句は…。」


「分かった分かった。もう言わねぇよ。ところでコノハ、カイネは?」


どうやら青年はウェキス、女性はコノハという名前のようだ。


「自信満々で送り出したカカシタゴサークがやられてヘコんでいるのでしょう。」


「…ヘコんでなどいない。」


ドアが開き、例の冷たい男口調の女性が現れた。

こいつがカイネらしい。

金髪碧眼、一流モデルか女優じゃないか?ってなくらいの美貌を誇るその女性は、軍服っぽいデザインの服を着ており、美人だけど何だか性格キツそうだった。

額には奇妙な紋章が描かれており、あからさまに悪の女幹部といった感じだ。


「カカシタゴサークの役目は奴らウゴクンジャーのデータを取ることだったのだ。もう十分データは収集できた。計画に狂いはない。」


「でも…最初はタゴサークで血祭りにあげるとか言ってませんでしたか?」


コノハがボソッと呟いたが、カイネに睨まれて沈黙した。


「まあ、すでに次の刺客は送り込んだ。大宇宙船に乗った気でいるがいい。」


こういう悪役男口調女に似合いそうなククク笑いを洩らす。

そんな彼女を傍目で見ながらコノハが独りごちた。


「スペースタイタニック号に乗った気がします…。」


「ま、いいんじゃねえか?楽しけりゃ。」


愉快そうに笑うウェキス。


…やっぱりこの四天王に協調性とかいう類のモノは見付かりそうもなかった。


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ガラッ!

憬教授が社会情勢学研究室、もといウゴクンジャー本部のドアを開けた時、最初に飛び込んできた光景は…ソファに横たわってる週一と冥介だった。


「あ、おかえりなさい。」


手に氷嚢を持った綾が準備室から現れる。


「…何かあったんですか?」


状況が理解できず、憬教授は訊ねた。


「ええと…、2人して空中ホバリングに挑戦したんです。でもホバリングできずに床で滑って…頭ごち~ん。変ですよね、ウゴクンジャー蝶はできたのに。」


小首を傾げつつ、気絶中の男2名に氷嚢を乗っける綾。

と、憬教授の後ろにいた沙紀が苦笑いしながら前に出てきた。


「ホバリングって…アレはあたしのタクティカルフレーム専用の特殊能力だよ?他のタクティカルフレームじゃできないって。」


「特殊能力?」


綾は何それ?って感じで眉を顰めた。

沙紀と水面は顔を見合わせて苦笑する。

…そんなことも知らなかったの?とでも言いたげだ。


「あの、さ…。タクティカルフレーム手に入れた時、守護者の説明ちゃんと聞いた?」


綾はかぶりを振った。

もちろん横に…。


-----------------------------------------------------------

「各タクティカルフレームにはモチーフにした生物に見合った特殊能力があるんだ。例えばあたしのは『ホバリング』。地上20cmの高さを3秒間浮かんでられる。」


あれから30分後、ようやく目を覚ました週一と冥介、そして綾に沙紀は説明していた。


「私のは『水中活動』。水中でも24時間制限付ですが息ができます。」


週一達が自分より年上だと知った水面は、沙紀と違って言葉遣いを変えている。


「でも…僕の時は何の説明も受けなかったけど。むしろ守護者不在で光の球がくれたし。」


「私も勝手に見付けた。守護者と週一君が戦ってる時だったし…。」


「俺はあんな怪しい守護者の話なぞ聞かんかった。」


3人はちょっと眉を顰めて言う。

自分の特殊能力がひょっとして分からず終いなの?って感じだ。


「大丈夫。タクティカルフレームに付いてる宝玉から説明書を取り出せるから。」

…胸の宝玉。そういえばそんなのもあった。

確か週一も洞窟の湖に落ちたとき、中に銃っぽいのがあったのを思い出して使おうとした記憶がある。

でも、後日取り出したら弾が付いてなかったのでヘコんだのだった。


「まさか説明書があったなんて…。よし!接着!」


週一はバッグを被る。


「じゃあ私も…接着!」


「接着。」


綾が麦藁帽子を被り、冥介は腕にラクガキする。

3名そろって変身するそのシーンは、滑稽と言うか何と言うか…微妙だった。

3つ同時でもやっぱりしょぼい光が煌いた後、研究室には3人のウゴクンジャーが立っていた。


「じゃあ…出でよ説明書。」


蟹が胸の宝玉に手を翳すと、彼の手に安そうな冊子が現れた。

モノクロ印刷で、『ウゴクンジャーのひみつ』と書かれたそいつは、人をバカにしているようにしか思えない。


「何か微妙だけど…まあいいや。それより僕の能力は…、」


アホ3人の変身時と沙紀、水面の変身時。そこには差別的な差があった。

それは変身に留まらず、差別は特殊能力にも及んでいることを…3人はその後、改めて知ることになる。

【初登場キャラ】

・ダークキャン・D四天王:ウェキス

・ダークキャン・D四天王:コノハ

・ダークキャン・D四天王:カイネ

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新章スタートです。

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