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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION11-謎の人物・謎の敵-
158/163

11-1.誰の母親?

「…あ~、ノドが変な感じ。」


港に到着した船の甲板で週一は軽く咳をした。

あの後、憬教授が現れて夜通しカラオケをやったのだ。

『時航丸』は妙なところに変な機能が付いており、衛星カラオケっていうクルージングに相応しくない行為をするに至った。

ちなみに憬教授は前に車の中で歌ったようなプロ級の歌声を披露せず、水面のウゴクンジャー卒業パーティーの時みたいな地声で童謡を熱唱していた。

綾はやっぱり流行りの歌を、冥介は対象年齢5歳くらいのアニソン、沙紀は前回同様に演歌を歌い、鎖雪と週一は誰も知らないマイナー歌手の歌を歌ったのだった。


「あ、到着したみたいですね。」


船内から憬教授が顔を出した。

クルーザーを運転しているのは冥介だから、残りはヒマ人なのだ。

憬教授は起きたけど、残りの若い女性3名はまだ夢の中にいる。


「あ、先生。おはようございます。みんなを起こしますか?」


「もうしばらく寝かしておいてあげましょう。…それに、見て下さい週一君。」


憬教授は甲板にやって来て、海の向こうを見る。

…ちょうど日が昇り始めてきているところだった。


「まだ夜が明けたばかりです。起きてもすることはないですよ。」


「そうですね。…あ、そうだ。確か港の向かいにコンビニありましたよね?僕、ちょっと買い物に行って来たいんですけど…もう降りられますか?」


「はい、大丈夫ですよ。私はみんなが起きるまで船にいますから。…ところで何を買うんですか?大抵のモノは船内にあるはずですけど。」


「カニカマボコです。おつまみコーナーに売ってるんですよね。何だか急に食べたくなっちゃって。」


やっぱり週一君だ。

でもそんな彼の性質をよく知ってる憬教授は眉を顰めることもせず、なるほどと頷く。


「週一君らしいですね。分かりました。じゃあ、いってらっしゃい。」


微笑んで手を振る憬教授に笑みを返し、週一はタラップを降りていった。


◇◇◇


夏っていっても早朝はそんなに暑くない。

ボケェ~っとしてるには最適な気温&湿度だ。

潮風も優しく、何とも爽やかだった。

週一は上機嫌で鼻歌を歌いながらタラップを降り切る。

と、そこで白いコンクリートの段差に座っている女性に気付いた。


「おはよう。」


その女性も週一に気付き、笑顔で挨拶してくる。

年は20代の後半から30代前半か。

若い女性にはない落ち着きっていう魅力が溢れている女性だ。純白の半袖ワイシャツに、黒いタイトスカートを穿いていた。

でも髪にはまだ若さが溢れており、背中まで伸びる黒髪が風に靡いている。


「あ、おはようございます。」


「あなたが週一君ね。クルージングは楽しかった?」


挨拶を返した週一に女性は笑顔のまま言う。

そのままスルーしようとしていた週一は立ち止まった。


「え?あの…どこかでお会いしましたっけ?」


記憶にはない方だ。

ってか、こういう年代の女性と知り合う機会なんてバイトもしてない学生である週一にはないはずだし。


「いいえ、私もあなたに会うのは初めてよ。でも、あなたのことは娘から聞いているの。」


…娘?


週一は改めてその女性を見た。

やっぱり若い。

子供がいたとしても園児くらいだろう。

しかし週一に園児の知り合いはいない。

ってことは、該当者は1名しかいない。


沙紀だ。


蝶滋郎さんがやたら若い嫁さん(当時ギリギリ16歳とか)を娶っていれば納得がいく。

沙紀が17歳だから33歳、若く見えるタイプだと思えばそう見えなくもない。

それに雰囲気がどことなく和服状態の沙紀に似ているような気がした。


「あ、そうでしたか。ええと、はじめまして。蟹令李週一っていいます。」


あんまり回転数のよくない脳味噌で納得した週一は微笑みながら会釈する。


「はじめまして。私はさえ。いつも娘がお世話になってます。」


「お迎えに来たんですか?」


冴から少し離れた場所には赤いスポーツカーが停まっている。

きっと彼女の車だろう。


「ええ。予定にはなかったんだけど、急用ができちゃって。だから娘は私が迎えに来たことを知らないの。週一君、よかったら呼んできてくれないかしら?」


「いいですよ。きっとまだ眠ってると思いますけど、急用なら仕方ないですよね。」


カニカマボコを買いに行く途中だったのだが仕方ない。

基本的にいい人である週一は、頼まれたらあんまりイヤとは言わないのだ。

言えないだけかもしれないけど。


「ありがとう。じゃあ、私はここで待っているね。」

【初登場キャラ】

さえ

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