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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION10-夏だ!海だ!!全員集合だ!-
155/159

10-14.兄妹の怪しい会話

「で、誰だったの?」


携帯電話をポケットにしまう週一に綾が訊ねる。


「海月さんだよ。」


「水面ちゃんから?感心しないなぁ、こんな場所でコソコソ2人きりで密談してちゃ。」


「アホなこと言うなよ。別に普通の話だって。」


そう言う週一だが、綾の追求は止まなかった。


「一応水面ちゃんは人妻なんだから、あんまり怪しまれるようなことはしない方がいいよ?それで何を話してたの?」


「KOするチャンスだからどうとか言ってた。意味不明だよ。」


彼はやれやれと肩を竦める。

本当に分かってないのだ。

その様子に付き合いだけは長い綾はどうやら納得したようだった。

まあ、週一君に人妻に手を出すような甲斐性はNOTHINGだってことなど最初から分かってたんだけど。


「ふぅん。確かに意味不明ね。まあいいや、それより週一君。」


「自分から話振っといて『まあいいや』はないだろ…。で、何?」


「八又乃さん知らない?ポーカーの必勝法を教えくれるって言ったのに、どっか行っちゃったの。」


…昼にやってたポーカーのことだ。

あれで週一は全敗したが、冥介は勝率7割という偉業を成し遂げていた。

週一の次に負けていた綾はやたら悔しがっていたが…どうやら必勝法とかいうのを教えてもらう約束をしたらしい。


「さっきまでここにいたけど、船室に戻ってったよ。多分、どっかの部屋にいるんじゃないか?外にはいないと思う。」


「じゃあ行き違いかな?分かった、探してみるね。」


うんうん頷き、綾はさっさと船内に戻って行った。

しかし彼女と一緒にやって来た鎖雪は戻らない。

怪訝な様子の週一に微笑みかけながら、彼の所に歩いて来た。


「何だよ、さゆ。お前も八又乃さんに用があるんじゃ?」


「ううん。アタシはシュウの方に用事。」


「僕に?まさか何かおごれとか帰りの電車賃がないから貸せとか?」


「ハズレ。」


笑顔のまま彼女は週一の隣に立つ。そして手摺りに背を預け星空を仰いだ。


◇◇◇


「…言いたいことは分かったよ、さゆ。」


鎖雪と同じように手摺りに背を預けた週一は、すぐ隣にいる彼女を見ずに言った。


「でも、僕じゃなくてもいいんじゃないか?もっといいヒトがいるだろ?」


鎖雪はかぶりを振る。


「ううん、シュウじゃなきゃヤダ。…と言うかシュウ以外にはいないよ。」


「どうしてそう思うんだ?」


「それはね、」


少しだけ弾みをつけ、手摺りから離れる。

彼女はそのままくるっと反転し、週一の正面に出た。

手を後で組み、微笑みながら彼を見る。


「性格がピッタリ。ずっと昔、ふざけてやった相性診断でも100%だったよね?ケンカも一度もしたことないし、一緒にいて楽しいし。それに他の男の人にはない雰囲気が好き。凄く寛容で誰に対しても同じように接するしね。下心とかそういうのがゼロって感じがするから。」


「う~ん、それは買いかぶりだと思うけど…。」


週一は苦笑した。

そしてそのまま困ったような笑顔で言う。


「…それに、やっぱりマズいんじゃないかな?」


「何が?」


「だってホラ、僕達一応は兄妹なんだし…。」


「そんなの大した問題じゃないよ、シュウ。大切なのは気持ちなんだから。」


「気持ち、か…。」


「そう。気持ち。それさえあれば何だって大丈夫だよ。…ううん、障害だって大丈夫にしてみせるよ。」


「…まったく、お前らしいって言うか。」


そう呟き週一は目を閉じる。

しばしの沈黙が流れた。


「…ふぅ。」


「…。」


小さく息を吐き、彼は目を開く。

そして鎖雪を見て微笑んだ。


「分かったよ、さゆ。僕でよければ。」


「ありがとう。シュウ。」


鎖雪も微笑む。

そして言った。


「あと、約束してね。浮気はしないって。」


「当然だよ。蟹に誓って浮気なんかしないさ。」


そしてダブルで微笑む兄妹。

…それにしても、コイツらは何の話をしていたのだろうか?

知らない人が見たら兄妹の会話とは思えない会話。

そして『兄妹じゃマズい』事で、『浮気』しない約束を。

何だか本当にヤバい雰囲気爆発だ。

前回の『激走!蟹レース』でもこんな感じの抽象的な台詞でよからぬ予想をさせたが、今回はもっと危険な香り。

ひょっとすると、ひょっとするのか?

インモラルな世界へ旅立ってしまうのか?

波の音のする夜空の下、疑念の兄妹は仲良く笑っていた。

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