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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION1-夏だ!海だ!!全員集合だ!-
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10-8.海釣りって大変

「蟹の妹よ。俺は釣りに関しては素人だ。しかしな、2つばかり突っ込んでいいか?」


クルーザーを自動操縦にしてきた冥介は、デッキで釣り糸を垂らす鎖雪に言った。


「はい?どうぞ!バンバン突っ込んじゃって下さい!」


「…その釣竿、俺の目がどうかしてなければ、『渓流用』と書いてあるように見えるのだが。海は普通、リールじゃないのか?それは延べ竿だろう?」


鎖雪の持ってる竿は紛れもない渓流用の延べ竿だった。

もちろん仕掛けも渓流用。

彼女の座る横には、ヤマメ用とか書かれた替え針と小型の錘(川専用)が置いてある。


「海も川も、魚は魚ですよ♪きっと大丈夫です!」


「そういう問題だろうか?もう1つ、何だそのエサは?」


エサはご飯粒を丸めたヤツだった。

港に行く途中、エサを買ってきますとか言いながらコンビニに向かった所から怪しかったが、このアホ娘が買ってきたのはオニギリ。

その米をエサにしているのだった。


海の魚をナメてる。

プロのアングラーとかが見たら卒倒するだろう。


「川で釣った時、これで釣れたんですよ♪」


「…多分、それは雑魚だと思うぞ。」


溜息を吐く冥介だったが、彼の言葉を否定するような声が甲板に響いた。


「釣れた!!」


綾の声だ。

まさか延べ竿&ご飯粒で!?

驚いて振り返ると、妙な魚を釣り上げて喜んでいた。

多分…釣ったっていうか引っ掛けたのだろう。


「凄いですね、綾さんは。じゃあ今度は私の番ですね。」


にこにこ微笑みながら憬教授が綾から釣竿を受け取る。

綾は魚を針から外し、それをどこに繋がってるのか不明の生け簀に入れた。

後で食べる気なのだろうか…?

でも憬教授が今度は自分の番とか言ってるけど、綾の番はもう回って来ないだろう。

だって綾は運良く引っ掛けて釣れただけなんだから。

でも鎖雪は笑顔を冥介に向けて言う。


「八又乃さん、やっぱり魚は魚だったんですよ♪」


「いや、あれは引っ掛けただけで、」


「センパイ、大物だよ!」


弁明しようとする冥介だったが、その声を沙紀の声が遮った。


「!?」


そっちを向くと、エイっぽい魚を釣った…っていうより引っ掛けた週一がいた。

嬉しそうな仲間たちを見て冥介はがっくりと肩を落とす。

さすがに効いたようだ。


「…もう勝手にしてくれ。俺は船の先端で風を感じてくる…。」


ニヒルに言うと、彼は元気なく去って行った。


◇◇◇


「ふぅ。デッキの上って結構暑いな。」


週一は釣竿を置くと呟いた。

あれから1時間、沙紀と交代で釣っているこのペアは、エイっぽい魚を1匹に何だか分からないカラフルな魚を3匹ほど釣り上げていた。

もちろん、延べ竿&ご飯粒っていう魚を侮辱したみたいな装備で釣れたのではない。

引っ掛けたのだ。


「プールで泳ぎますか?15m円ですからあまり広くないですけど。」


憬教授がどこからか取り出したリモコンのスイッチを押す。

するとウイーンって音と共に甲板の一部が捲れ、円形のプールが姿を現した。ハイテクだ。


「わっ、プールもあったんですか!凄いです♪でも…お魚さん、泳いでませんか?」


そのプールを覗き込んだ鎖雪が言った。

…釣った魚が泳いでらっしゃる。

どうやら生け簀っぽいモノはプールの一部だったようだ。


「海水プール兼、生け簀です。こうして釣った魚と戯れることもできるんですよ?」


「…ハリセンボンとかウツボとかもいるんですけど?」


憬教授と綾が釣り上げた可愛いハリセンボン君×7と、何故か鎖雪が釣ったウツボ(全長約150cm)も元気に泳いでた。


「戯れるって言うか、襲われそうだね。週一君、試しにダイブしてみてよ。」


「絶対断る!」


平気で酷いことを言う綾を少し睨んだ後、週一は大きく溜息を吐いた。


「…先生、何でこういうエキセントリックな仕組みにしたんですか?普通に分離してれば良かったのに…。」


「個性は大切ですよ。ね、沙紀さん。」


「いや、これは個性って言うか何て言うか…。」


全員の表情が笑顔だった。

憬教授以外は苦笑いっていう種類の笑顔だったけど。


「まあ…ともかくこのプールで泳ぐのは無理ね。他に何かない?」


「じゃあこのお魚さんたち、食べちゃいましょう!アタシ、自分の釣った魚を船の上で食べるの夢だったんです!」


「漁師みたく食べるか…。でも…。」


週一がプール生け簀を泳ぐ魚を見て唸る。


「何か特殊な魚ばっかりだよね。調理できる人…いる?」


女性陣全員がかぶりを振った。

まあ、そうだろう。

鯖とか鯵とかは料理できても、ハリセンボンを料理することは機会すらないのだ。


「でも、何事も挑戦です。私が創作料理でも…、」


「そうだ!」


笑顔で言う憬教授の言葉を綾が遮り、残り3人を見て言った。


「キャッチ&リリースよ!それが一番!!」


綾の言いたいことは分かる。

憬教授が毎度おなじみのカオス料理を作り始める前に逃がそうってハラだ。

で、その裏提案は憬教授の料理を知らない鎖雪以外には瞬時に伝わった。


「そうだよ!キャッチ&リリースだ。ね、歐邑。」


「あたしも綾さんの意見に賛成。」


…誰も、カオス料理は食べたくないのだ。

食中毒とかの危険が普段より高めの今日は特に。

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