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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION1-夏だ!海だ!!全員集合だ!-
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10-5.全員到着!さあ、海で何をする?

「…私はクルージングをと思っていたのですが…。」

少し困った笑顔の憬教授。


「アタシ、てっきり釣りかなって…。」

手にした釣り道具一式を所在なさそうにいじる鎖雪。


「海と言えば普通は潮干狩りよ。みんな常識ないなぁ…。」

やれやれって感じで勝手なこと言ってるのは綾だ。


「僕は岩場で蟹探しすると思ってたよ。種類が多いから、海って。」

「波止場で黄昏るのが男の浪漫だろう?普通は。」

まあ、この男2名はバカだから放っとく。


「…。」

で、沙紀は無言だった。


沙紀が無言=キレてるかと思いきや、別に表情はそうでもない。

むしろ穏やかな笑みさえ浮かべていた。


「まあ、らしいって言えばらしいね。このメンバーだし。それよりこれからどうするか決めないと。せっかく集まったのにバラバラの行動してたんじゃ意味ないよ。」


彼女の提案に全員が頷く。


「任せる。俺は波止場で黄昏ても似合うからいいが、蟹や甲虫では似合わんからな。」


「僕も蟹探しはまたの機会でいいや。みんなのぶんの道具、持ってないんだ。」


「じゃあ潮干狩りも無理かぁ…。ごめんね、みんなの道具も持って来れば良かったんだけど…。」


キワモノ3名が退いてくれた。

これで6人で黄昏てみたり蟹を探したり、海水浴用の砂浜で潮干狩りするっていうイタい行為をしなくて済んだようだ。


「残った選択肢はクルージングと釣り、そして海水浴ですか…。どれにしましょう?」


憬教授がにこにこ笑顔で言う。

週一が鎖雪に訊ねた。


「さゆ、釣り道具ってどれくらい持ってきた?」


「釣竿は一応4本。エサはあとで買うつもりだったからどうにでもなるよ。」


「ふむ、では釣りは可能か。」


うんうん頷いた冥介は付け加える。


「ああ、言い忘れたが、俺は泳げんぞ。いや、むしろ泳ぐ気がないから海や川、プールに入ったことすらない。」


「…どうしてですか?」


「フッ、蟹よ。考えても見ろ。…俺は確かに水に濡れてもいい男だ。しかしそれは雨の中、びしょ濡れになって駆けるか静かに歩く時限定だ。裸で水の中を泳ぐのは俺のイメージを崩す。」


「…。」


何か勝手なこと言ってる冥介を無視し、残りメンバーは考えた。


「う~ん、一応1kmくらいは泳げるけど、今日は水着とか持って来てないんだ。」


「私は持ってるよ。潮干狩りに夢中で満潮になった時対策に。」


「アタシ、持ってないです。着替えはあるけど普通の服だから…。」


「私も持っていませんね。でも帽子はあと13つくらい持っていますよ。」


…水着を持ってるヤツは沙紀と綾の2名ってことだ。

これじゃ海水浴は無理っぽい。


「海水浴が無理となると、残りはクルージングですか。うん、もう1つの候補、釣りはクルージングと一緒にやれます。決定ですね。」


憬教授が嬉しそうに微笑んだ。

そして水着の上から開襟シャツを着ているだけの沙紀に言う。


「沙紀さんには私がスカートを貸してあげますからご安心を。」


◇◇◇


砂浜から5分くらい歩いた場所にある港。

ボートやらクルーザーやら競艇用のモーターボートが停泊してある。

何で競艇用のが?とか疑問に思うけど、変わったヒトはどこにでもいるもんだから誰も口に出さなかった。


「それで、クルーザー借りるんですよね?お金とか高かったら嫌だなぁ…。」


停めてあるクルーザーはどれも大きくて立派だ。

まあ、『タイタニグル』とか、きっと難破するだろうなぁって名前のヤツもあったけど、大体がまともでレンタル料高そうだ。


「借りませんよ。あっ、ありました。コレが今日乗るクルーザー『時航丸』です。」


先頭を歩いていた憬教授が指差す先には、周りのにも劣らない立派なクルーザーがある。

でも船体にはデカイ時計が描かれていた。


「うわっ!凄い!!もしかしてこれって先生の!?」


綾が歓声をあげる。

残りメンバーも少なからず驚いているようだ。

憬教授は頷いた。


「はい。私のですよ。食べ物や飲み物は昨日入れておきましたから、いつでも出航できます。でも…問題が1つ。」


「問題?」


故障してるとか、そういうオチ?

全員の脳裏を不安がよぎる。

憬教授のことだ。動かないクルージングもいいですねぇとか言う可能性もある。


「運転手がいないんです。私、免許を取るの忘れちゃいまして。」


…そっちの問題か。

でも大問題だ。

運転手がいないってことは動かせないってこと。故障してるのと変わらない。


でもその問題を解決すいる意外な奴がいた。


「チーフ、安心して下さい。俺が免許は持ってます。」


冥介だ。

彼はニヒルに笑うと、胸ポケットから免許証を出して見せた。


「まあ、今はまだ使う予定ではなかったのだがな。これは俺が中年になった時、クルーザーを駆る渋い男になるためのアイテムというわけだ。」


そういう理由のようだ。

確かに車を運転するだけでは『おじさん』だが、クルーザーとか運転してると『おじさま』っぽいかもしれない。

何とも冥介らしい発想だった。

しかしこれでNO問題。

ウゴクンジャーのクルージングが、静かに幕を上げた。

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