表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION9-めでたしめでたし-
140/156

9-11.めでたしめでたし

5分が経過した時点で残っているPマーモセットは2体だった。

ビイとカグヤはそのPマーモセットを同時にやっつけると、羅刹ロケットを睨み付ける。


「歯応えないネ。Pマーモセットごときじゃワタシを倒せないアルよ。」


「もう貴方お独りですね。」


周りで消滅していくザコ戦闘員を一瞥し、羅刹ロケットは鼻を鳴らした。


「フン、こんなので勝てるなんて最初から思ってなかったHO。直接このIがケリをつける予定だったHO。」


「強がても無駄ネ。アナタ、どう見ても鈍そうアル。速攻で攻めてお終いヨ。」


「…言い忘れてたがHO、Iの能力は…宇宙へ行けることHO。」


…まあ、ロケットだしね。

ウゴクンジャーだったら『あっそう。じゃあ勝手に行ってらっしゃい』とかで済みそうなんだけど、その台詞にカグヤが反応した。


「宇宙!?では月にも…!!」


「楽勝HO。Iは店の外で聞いてたHO?オマエ、月の世界へ行きたいらしいHO。連れてってやってもいいんだけどHO~?」


誘惑する羅刹ロケット。

狙いは何だ!?とか訊ねりゃいいのに、カグヤは別のことを言った。


「わ、私を月へ連れて行って下さい!!」


「カグヤ!?」


ビイが声を上げる。

これは罠に違いない!とか言うと思ったけど、やっぱり彼女も別のことを言った。


「刺客がそんな親切してくれるわけないヨ!法外なお金、請求されるアル!」


「タダだと言ったらHO?」


「!?」


その言葉にビイとカグヤが息を呑んだ。


「タダで月に送ってやるって言ってるHO。Iの目的は裏切り怪人の処分、カグヤ、オマエはドリーム童話が童話の世界から呼び出した者HO。童話の目的が成就すれば消滅するんだHO。だからオマエの願いを叶えることは、即ち裏切り者を1体始末することにも繋がるってわけHO。」


羅刹ロケットは加えて言った。


「さあ、どうするHO?始末とは言っても、オマエにとってはそれが目的HO。利害は見事に一致しているHO!」


「そ、それは…!」


うろたえるカグヤ。

確かにロケット野郎の言っていることは正しい。

自分は月の世界に帰れ、奴も裏切り者を1人排除できるのだ。


「…ワタシは何も言えないアル。カグヤ、決めるネ!アナタが帰りたいて言たら、ワタシは何もしないヨ。でも、戦う言たらコイツ倒すアル!」


「わ、私は…!!」


カグヤは俯き、そして顔を上げた。


「私は、帰ります!月の世界へ!!」


「交渉成立HO!では、Iに掴まるHO!」


高らかに笑い、羅刹ロケットは手を差し伸べる。

カグヤはその手を取ろうとして…そしてビイの方を向いた。

で、しおらしい顔をして言う。


「…おばあさま。」


「ワタシ、お婆さんじゃないアル!」


「言わせて下さい!!」


「うっ!」


いつになく大きな声にビイは黙る。

それを確認し、カグヤは続けた。


「今まで本当にお世話になりました。おじいさま&おばあさま。私は月の世界に帰ります。どうか、悲しまないで下さい…。」


どうやら童話の通りにやってるようだった。

でもそこは月夜の翁宅じゃなく、朝の蕎麦屋前。

見送るのはお婆さんじゃなくてエセ中国娘だ。

それに月へ連れて行くのが使者&馬車じゃなく、ロケット怪人。

ムードもへったくれもない。


「カグヤがいなくなると、店の仕事が大変になるネ。でも仕方ないアル。悲しくはないアルけど。」


「これは今まで育てて下さったお礼に置いていきます。」


そう言って例の扇子を差し出した。

ビイは受け取る。


「くれるて言うなら貰うヨ。どうもアル。あと、育てた憶えはないネ。」


「では、さようならです…。月の世界からおじいさま&おばあさまの健康を祈っています…。」


一通り言い終えたカグヤは、すっきりした顔になって息を吐いた。


「ふぅ。これで私もようやく元の世界に戻れそうです。ではロケットさん、お願いしますね。」


「…よしHO。では行くHO!」


羅刹ロケットはカグヤの手を取り、下に付いてるブースターから青い光を放ち始める。

大気がブルブルと震えた。


「任務完了HO!!クリティカル定食・ビイ!次はオマエHO!!首を洗って待つがいいHO!!!」


ドンッ!!


凄まじい衝撃と共に、羅刹ロケット&カグヤは飛び上がった。

そしてそれはみるみる小さくなり、やがて青空の向こうに消えていく。


「…さよならアル、カグヤ。お店のことは任せるよろし。」


もう点も見えなくなった青空を見上げ、ビイは呟いた。


…そして何だかよく分からないうちに、何だかよく分からないキャラのカグヤは消えていったとさ。

めでたしめでたし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ