9-10.裏切り者×2の処分
「そう言えば沙紀ちゃんは?」
消えていくサイバー忍者・甲&乙を一瞥し、綾が訊ねる。
「さあ。この時間だから補習とかその辺じゃないかな?高校だしね、しかも3年だからそういうのが大変なんだよ。きっと。」
「フッ、血は流れんが、幾人もの学生が涙を流す。受験戦争とはよく言ったものだ。」
カッコつけてる冥介を素敵に無視し、綾は頷いた。
「そっか。じゃあ今週の土曜日は沙紀ちゃん無理とか?」
「海へ行くってやつ?大丈夫だと思うよ、土日は休みだろうから。」
「だったらいいんだけどね。」
会話が止まる。
今は朝の8時、夏休みに入ってだらけてるコイツら(冥介は普段からだけど)は、まだまだ温かいベッドが愛しいのだ。
「…さてと、私は家に帰って2度寝するね。ダークキャン・D倒したら眠くなっちゃって。」
「今の時間じゃ店とか開いてないし…僕もアパートに戻ろっかな。」
「俺は作曲の続きをしなければならん。」
3人は口々に言い、そして頷き合った。
その心は完全に一致している。
さっさと家に帰るってコトで。
「じゃあ、また明日か明後日。」
「うん。明後日は確実に会うけどね。」
「縁があったら明日も会おう。」
◇◇◇
「来週は休みネ。…カグヤ、アナタは何してるカ?」
寛和蕎麦の店内で掃除を終えたビイが訊ねる。
「はい、月の世界へはどうやったら行けるのか、それを調べようと思っています。」
テーブルを拭いていたカグヤが答える。
それにしても例の夜に戦っていた2人がどうして同じ職場(しかも蕎麦屋)で働いているのか?その経緯が不明なままだ。
解明する予定はないけど。
「月の世界、アルか。どんな所なのか想像つかないアル。」
「私もです。ですが、私はそこに帰るべきなんです。」
「それが意味不明ネ。帰て何するかとか、決めてあるのカ?」
カグヤは少し考え、困ったような微笑みを浮かべてかぶりを振った。
「いえ。漠然となんです。…私は月の世界の者で、いつか帰らなければならないと。何か本能のようなものがそう告げているんです。」
「複雑ネ。ま、いいアル。もうすぐ開店アルから、早く仕込みに取り掛かるネ。」
「そうですね。」
微笑む2人。
でも次の瞬間、その目付きが変わった。
「…感じたアルか?何者かがこの店、囲んでいるネ。」
「はい。…ダークキャン・Dの刺客、でしょうか。」
「何でもいいヨ。とにかく店は守るアル!」
2人は目配せすると、店の外に飛び出して行った。
◇◇◇
待ち構えていたのは、100体以上いるPマーモセットだった。
そしてそいつらの戦闘に2mくらいのロケットから手足が生えた怪人が立っている。
「出て来たようだHO、裏切り者×2!」
ロケット野郎は威圧的だかアホだか分かんないような声で言った。
「Iはダークキャン・D裏切り者処分怪人、羅刹ロケット。ウェキス様の命により、オマエラ2人とも処分するHO。」
「またウェキスの怪人アルか。この前のメタルハムスターで終わたと思たのに…、なんてしつこい奴ネ!ネチネチ男は嫌われるヨ!!」
「誰であろうと、私は月に帰るまで倒されるわけにはいきません!」
ビイとカグヤがそれぞれ構えを取る。
もうダークキャン・Dは抜けたってんで、反抗する気マンマンだ。
「抵抗するのかHO。まあ、そうでないとIも楽しめないHO。」
羅刹ロケットは嬉しそうに言い、ポキポキと指を鳴らした。
「かかれッ!Pマーモセット!!」
「キィィィッ!!」×100
一斉に襲い掛かるPマーモセット×100。
でもコイツらはチンパンGより弱いザコ中のザコだ。
ビイとカグヤが負ける確率は…ゼロだった。
「消えるがヨロシ!!」
何となく中華拳法っぽい掌抵で吹っ飛ぶPマーモセット×5。
「どこか遠くへ!満月扇!!」
扇子の一振りで上空に消えていくPマーモセット×5。
もの凄い勢いでその数は減っていく。
弱いからどいつもこいつも立ち上がって挑んでくるようなヤツはいないし。
【初登場キャラ】
・羅刹ロケット




