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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION9-めでたしめでたし-
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9-6.無駄に過ぎていく時間

「…ふぅ。」


厨はパジャマ姿のまま、大きく伸びをした。

もう昼だってのに…寝坊だ。

でも彼の仕事はフリーのエンブレムデザイナー。

自宅で時間に縛られないでできる仕事だ。

だからいくら寝坊したって遅刻することもなければ上司って存在に脅かされることもない。


「あ、おはようございます。厨さん。」


そんな彼にキッチンの方から声が掛かる。

そこにいたのは…エプロンを装備して料理をしているコノハだった。


「おはよう、コノハ。寝坊しちゃったかな?」


「いえ。私もさっき起きて着替えたばかりですから。だからこれは朝食兼昼食です。」


幸せそうな笑顔で言うコノハ。

ん?…さっき起きて着替えた?ってことは…。


「いい匂いだね。何を作っているんだい?」


厨は穏やかな笑顔のまま彼女の傍に寄る。

っていうか、ぴったり寄り添った。腰を抱いてるし。

で、コノハの方も彼の肩に頬を預ける。


「余り物で簡単な物を…。厨さんのお口に合えばいいんですけど…。」


「いや、美味しそうだよ。余り物でここまで作れるなんて、本当に君はどこまで男心を分かり切ってるんだ?」


「そんな、厨さん…。」


そしていつものパターンが始まった。


「コノハ…。」


「厨さん…。」


見詰め合う2人。

でも、この後の展開は前と同じだから省く。

それにしても…行くところまで行ってしまった2人。

くどいようだけど片や正義の味方の実兄、片や悪の四天王。この先どうなるんだろうか。

…ホントに。


◇◆◇


「…今日は客が多いな。」


所変わって寂れた商店街の隅っこにある店、寛和蕎麦。

いつもは出前なんだけど、暇を持て余している冥介は直接食べに来ていた。


「水曜日は他の店、お休みらしいヨ。だから1週間でこの日は稼ぎ時ネ。」


てんぷら蕎麦を食べる冥介の湯飲みにお茶を注ぎながらビイが言った。

その傍らを十二単を着たカグヤが忙しそうに通り過ぎていく。

クーラーが効いているとはいえ今は真夏だ。

何故にあんな厚着をしているのか分からん。

もしかするとビイのどんぶり同じく、脱ぐと消滅する仕組みになってるのかも。


「ああ、そうアル。来週から1週間、ウチはお休みネ。お客様にはご迷惑かけるアル。」


すでに常連の域に達している冥介にビイは言う。


「休み?改装でもするのか?」


「師匠…、店長が息子さん夫婦の家に逆帰郷するらしいアル。何でもここより息子さん夫婦の家のほうが田舎にあるそうで、帰郷した気分になるそうネ。」


「…まあ、確かに都会へ帰郷するというのは邪道な気がするがな。それでも逆帰郷とは…。世の中、変わった習慣もあるものだ。」


冥介はうんうん頷きながら蕎麦をすすった。


「変わった習慣のほうが個性あていいネ。あ、いらっしゃいませアル!」


カグヤ同じくビイも慌てて新しく入ってきた客に向き直る。

本当に忙しそうだ。

でも表情は疲れてるとかそういったモノじゃない。

忙しいけど楽しいって感じだった。


「じゃ、ごゆくりアル。追加注文とかあたら、カグヤに言うといいネ。」


彼女はそう言い残すと冥介の傍から離れていった。

残った冥介は蕎麦をもう1口すすり、息を吐く。


「水曜は人が多いのか。…では水曜に出前を取るのはよすべきだな。」


◇◆◇


再び所変わってダークキャン・Dアジト。

幹部特別室にはウェキスとキヨスク、そしてカライドがボケェ~っとして座っていた。

カイネの行方は不明だが、コノハは厨の所。

でもコイツらは知らないだろう。

知ってたら止めるはずだ。


「なァ、キヨスク。楽しいことねえか?」


ウェキスがやる気のなさそうな声で言う。

彼が座る前には手入れが完全に終了した盆栽が置いてある。

これを終えてしまったのでやることがないのだ。


「…ウゴクンジャーとでも戦いに行けば?」


「今日はパス。」


「じゃあねえな。」


ぐて~んとする2名。いや3名か。

と、ウェキスはカライドを一瞥した。


「なァ、カライド。楽しいことねえか?」


「ボクは今楽しんでるよぉ?頭の中でシューティングゲームしてて、ちょうど2面のボスを倒したところ。」


「…お前に訊いた俺が間違ってたな。」


疲れたっぽい顔で溜息を吐くと、ウェキスはソファに寝転んだ。

そして被っていた植木鉢をずらし、目を覆う。


「寝る。」


数分後、彼からは静かな寝息が聞こえてきた。

…平和だ。

悪の居城だってのに。

まったりした空気の中、キヨスクも欠伸をするとどこからか寝袋を取り出して潜り込む。

カライドもいつの間にか座ったままで眠ってしまっていた。

こうして侵略者たちの1日が、無駄に過ぎていく…。

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