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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION9-めでたしめでたし-
134/150

9-5.鬼ヒヨコの恐怖

「ぴぴぴぴぴっ!そうだっぴ!そのまま身動き取れなくなるがいいっぴ!」


商店街にちょっと高めの可愛らしい声が響く。

そして道中に溢れる丸い毛玉みたいなヒヨコの群れ。

何て言うか…微妙な光景だ。


「くっ!進みたいけどヒヨコ踏んじゃいそうで進めない!!」


綾が悔しそうに声を上げる。

彼女から10mくらい離れた場所にはふわふわの羽毛に包まれた50cmほどのヒヨコがいた。

しかし本物のヒヨコよりもマンガチックなデザインだ。

まあ、何にせよ可愛い怪人。

ぬいぐるみ生命体。


「この鬼ヒヨコが世界中の交通機関とかいろいろ麻痺させるっぴ!」


こんな可愛いヤツのどこが鬼なのか分からないが、そういうことらしい。

確かに車もヒヨコに囲まれて身動きができないでいる。


「早く倒さないと…!でも、鬼ヒヨコも可愛いから倒したくないし!」


悩む綾。

それもダークキャン・Dの狙いか?


「行くっぴ、プチ鬼ヒヨコ!」


鬼ヒヨコが叫ぶと、無数のプチ鬼ヒヨコが綾に飛び掛る。

でも攻撃能力は持ってないから飛び掛るだけだ。

柔らかい羽毛に包まれているため体当たりにもならない。


「うぅっ!ヒヨコがポンポン当たって羽毛が気持ちいい!余計に倒したくない!!」


でも綾の攻撃を封じるって面では効果があったようだ。


「ぴぴぴっ!もう勝ったも同然っぴ!嬉しいっぴ!」


ピョコピョコ飛び跳ねて喜ぶ鬼ヒヨコ。

その仕草もやたら可愛かった。


ブチン…


綾の中で何かが切れる。

その瞬間、彼女に体当たりをかましていたプチ鬼ヒヨコの動きが止まった。

そしてピヨピヨ鳴きながら逃げていく。


「ぴっ!?どうしたっぴ!?一体何が…、」


「…もう我慢できない。」


驚く鬼ヒヨコの前で綾がゆらりと揺れる。

口元には笑みが浮かんでいた。


「ぴぃぃっ!?」


「飼ってやるぅぅぅぅ!!!」


猛然と走り出す綾。

血相変えて逃げようとする鬼ヒヨコ。

動物(?)としての本能が鬼ヒヨコに訴えたのだ。


綾に捕まったら終わり。

狭いカゴにぶち込まれ、死ぬまで飼われてしまう。

しかもきっとヤツは3日くらいで飽きてエサを忘れるだろう。

そして自分が餓死して数日後、やっと気付いて10分ほど悲しみ、そして埋葬するのだ。

まあ、簡単に言うと監禁されて殺されるってこと。

最悪だ。


がしっ


鬼ヒヨコのふわふわ羽毛を綾が掴む。

そしてニヤリと笑った。


「つ~かまえた♪今日からキミは私のペットね。」


「いやだっぴ!それだけはいやだっぴぃぃぃぃぃっ!!!」


可愛らしい声で叫ぶ鬼ヒヨコを綾はぎゅうぎゅうに抱き締める。


「う~ん!ふわふわ!かわい~っ!!」


「やだぁ、やだっぴぃぃぃぃ…!!」


「じゃあ、コレに入れて持ってこう。」


どこからか大きなバッグを取り出した綾は、必死で抵抗する鬼ヒヨコをその中にしまう。


「助けてっぴ!カイネさま、ウェキスさま、コノハさまぁ!助け、」


シャーッ


チャックが閉じられ、鬼ヒヨコの悲鳴は聞こえなくなった。

途端に道を埋め尽くしていたプチ鬼ヒヨコが消滅する。

綾はそれを見て満足そうに頷くと、鬼ヒヨコの入ったバッグを肩に掛けた。


「さてと。特にやることないから帰ろっと。」


そして、ご機嫌な様子で去っていった。


◇◇◇


可哀相な鬼ヒヨコが天国への片道切符を強制予約されたその頃、週一と葦和良は歐邑家のやたら広い敷地を歩いていた。


「そうですか。ご当主様が…。きっと私が蟹令李様に傘をお借りしたむねをお伝えしていたからでしょう。」


微笑んでいう葦和良。

週一の説明はこうだ。


『蝶滋郎さんに言われた通りに来たんです。』


まあ嘘ではない。

コイツは素直にその言葉に従ったがバカだから建物を間違えたのだ。

でも葦和良さんはそう解釈してくれた。

無論、週一もそうだったんだと頷いている。

彼の手には以前貸した傘が握られていた。


と、前方から蝶滋郎がやって来た。

いつまで経っても週一が来ないので見回っていたのあろう。


「ご当主様。蟹令李様に傘をお返し致しました。」


そう言って葦和良は頭を下げる。


「傘?ああ、そうか。それを返してもらいに行っていたんだな。」


やっぱり彼もそう解釈した。

だから応接間にいなかったんだと。

そして蝶滋郎は申し訳なさそうな顔をして週一に言う。


「すまんが週一君、急用ができてしまった。だから…、」


「いえ、おかまいなく。僕もちょっと用事を思い出したのでもう帰ろうかと思っていたんです。」


笑顔で週一が答えると、蝶滋郎はやっぱり申し訳なさそうな顔をしながらも微笑んだ。


「本当にすまんな。…そうだ、葦和良。車で週一君を送ってあげなさい。」

【初登場キャラ】

・鬼ヒヨコ

・プチ鬼ヒヨコ

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