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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION8-四天王補欠-
124/150

8-4.“変人に好かれる”資質

チンパンG2体を倒した週一は帰路についていた。

隣を歩くのは葦和良だ。

絶対に銃刀法違反だろう短刀は後腰の帯の中に収納してある。

きっとその中には苦無とか小柄とか和風テイストたっぷりな暗器が詰め込まれているのだろう。

ちょっと興味がある週一だったが、怖いから訊かないでいる。


「そういえば…。」


ふいに葦和良が言った。


「はい?」


「この前にお借りした傘をお返ししなければいけませんね。」


「ああ、あの時の…。」


忘れてたけど、雨の日に傘を貸したことがあった。

お気に入りの蟹プリント傘じゃなかったから余計に記憶になかったのだ。


「蟹令李様のお住まいを教えて頂ければお届けしたいのですが…。」


お住まいなんて結構なモノじゃない。

歐邑家と比べると月とスッポンの卵なアパートだ。


「ははは、いいんですよ。僕のアパートって意外と遠いですから、」


ブチッ!


そこまで言った時、何かが千切れる音がした。

そしてあっと声を漏らす葦和良。


「どうしました?」


「はい…鼻緒が切れてしまったようです。」


週一が彼女の足元を見ると、右の草履の鼻緒が切れてしまっていた。

草履なんかで戦っていたのだ、無理もない。

葦和良は片足で立ち鼻緒が切れた草履を手に取る。


「これは…。」


「?」


不思議そうにする週一に葦和良は困ったように微笑む。


「ただ鼻緒が切れているなら布で結びなおせるのですが…穴が大きく欠けてしまっているようです。」


「どうするんですか?」


「そうですね…仕方ありません。足袋か裸足で、」


「それは止めといたほうがいいですよ。」


葦和良の声を遮って週一は言った。

今度は葦和良が不思議そうな顔をする。


「足が汚れるし、ここから結構距離があるし。…そうだ、コレを。」


彼はそう言うと持っていた袋から白塗りの女物の草履を取り出す。

鎖雪に頼まれて買ったヤツだけど、彼女は色を指定していなかった。

だから自分用に買った黒いのでもいいだろう。

多分。


「え?あの…これは?」


「丁度さっき買ってきたんですよ。コレを履いて下さい。」


笑顔で言う週一。

これが1000円とかする草履だったら考えるけど、何てったって100円だ。

ジュースをおごるより安い。

さっきもチンパンGを引き付けてくれたおかげで被害も広がらなかったこともある。


「ですが…。」


「2つ買ったんです。だから1つはいいんです。あ、それともこっちの黒い方がいいですか?」


葦和良は少し戸惑っているようだった。

週一はまぁいいやってことで、白塗りの草履を彼女の足元に置く。

それは葦和良が最初に履いていた草履と似ていた。

まあ…値段は2、3桁くらい違うだろうけど。


「履いて下さい。ダークキャン・D退治を手伝ってくれたお礼だと思って。」


「…分かりました。ありがとうございます、蟹令李様。」


微笑み、彼女はその草履を履いた。

でもきっと100円だとは思ってないだろう。

普通に買えば3000円くらいはする草履だ。

安売りしてたから100円だったわけで。


「傘といい、この草履といい、蟹令李様には本当に…、」


ペンペンポン♪ペペペンポロン♪


と、彼女の声を遮るように週一の携帯電話が鳴った。


「あ、すいません。」


彼は彼女に断りを入れ、取り出して通話ボタンを押す。

エンブレムは四季折々の映像&青い鳥。

厨だ。


「ちゅう兄。」


『やあ、シュウ。』


ディスプレイに爽やか度100の笑みを湛えた青年が映った。


『今日、僕のアパートに来ないかい?大きな仕事を終えて報酬をもらってね、さゆも呼んで何かおいしいものでも食べようかと思って。』


「行く。」


即答だった。

週一は顔を上げ、葦和良を見た。


「あの、葦和良さん。急用ができたのでここで失礼しますね。…それと、本当にありがとうございました。」


◇◇◇


週一が去って数分後。

1人で帰路についていた葦和良はふいに立ち止まった。

そして自分の履く草履を見る。


「…。」


彼女は少し微笑むと、再び歩き出した。

…占いフューチャーの予言。


『週一は“変人に好かれる”資質を秘めている』。


普通に銃刀法違反で、服装は常に時代劇。

しかも身体能力は忍者な葦和良さん。

彼女は十分に『変人』だ。

週一は最後まで予言を聴かなかったけど、もしかすると…。

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