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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION7-待ち人、現レズ-
110/150

7-8.吉と出るか凶と出るか

3時間後。

もうすぐ8時になる町野中公園は、人影もなく虚しい空間になっていた。

これが萌木公園とかなら、夜の散歩をする老人や、夕食を終えて公園でしっぽり休んでいるカップルとかがいるんだけど、町野中公園は不良すら集まらない不便な公園だ。

夜になるとほとんど誰もいない。


キキーッ!!


ブレーキ音と共に、何者かが公園前に止まった。


「ふぅ、ちょと疲れたネ。一休みするアル。」


ヒヨコ柄のラーメンどんぶりを被ったそいつは…クリティカル定食・ビイだった。

どうやら出前の帰りっぽい。

自転車の後ろには出前の箱が括り付けられていた。

彼女は大きく伸びをすると、公園へ入り、近くにあったベンチに腰を下ろす。

まだちょっと明るいから、あんまり役に立ってない街灯の下には蛾とか変な虫とかがブンブン舞っている。

もうすぐ夏も本番だ。


「!?何者アル!」


いきなりビイは飛び上がると、背後を睨んで構える。

すると、トイレらしき建物の陰から何者かが顔を出した。


「…あのぉ、ここはどこなんでしょうか?」


なかなかの美人だった。

でも、どういうわけかやたらと重厚な着物を着ている。

動くのも大変そうな重装備。

髪も腰くらいまであって、明らかにアウトドア派でない雰囲気だ。


「町野中公園アル。アナタ一体誰ネ?」


「カグヤと申します。ドリーム童話という方に召喚されて来たのですが…。」


…かぐや姫。

着ている着物は十二単。

多分、ドリーム童話が呼び出したのだろう。

本体が死んでもまだ残っていたようだ。

ちなみにウミガメはあの後、水族館に電話して引き取ってもらっている。

地蔵とか斧とかはそこら辺に奉っておいた。

地蔵は事故現場かと思われて毎日花が活けられるようになり、斧はご神体と思われてちょっとした祠まで建てられるのだが、それはまた別のお話。

…どうでもいいけど。


「そうアルか…ダークキャン・Dの刺客ネ?」


ビイは目を鋭く細める。

前回のメタルハムスターで懲りてるのだ。

もう、どんなヤツだろうと舐めてかからない。


「消えるアル!!」


地面を蹴り、かぐや姫に突っ込んで行くビイ。

かぐや姫は一瞬驚いたが、さっと懐から扇子を取り出した。


「満月扇!!」


ビュッ!!


扇子を振った瞬間、凄まじい風が起こり、ビイは吹き飛ばされる。


「なっ!?」


かぐや姫、意外に強い!

ビイは空中で1回転した後、体勢を立て直して着地する。


「いきなり何ですか?貴方は一体?」


扇子を構えたかぐや姫が訊ねる。

ビイは彼女を睨みながら再び構えた。


「うるさいネ!アナタはダークキャン・Dがワタシに放った刺客に違いないアル!倒すアル!!覚悟するヨロシ!!」


「私が…刺客…?そうですか、分かりました。これはきっと、月の世界へ帰るための試練なのですね。お相手します!!」


両者とも勝手な解釈をしたようだ。


「蹴飛ばしてやるヨ!!」


駆け出すビイ。


「月の光よ!私に力を!!」


まだまだ月が出るには早いんだけど、そう叫ぶかぐや姫。

エセ中国娘と十二単女の戦いが、幕を開けた。


◇◆◇


「僕は死ぬかもしれん。」


アパートにて週一は電話口に向かって言った。

ディスプレイには彼と同レベル…ヘタしたらそれより悪いって噂の頭脳を持つ女、鎖雪が映っている。


『その、歐邑さんに?ど~して?』


愚妹は例のボーイスカウトっぽい格好をしていた。

今からサマーキャンプに行きますって言ってもおかしくない姿。

でも背後に映ってるのは彼女の部屋だ。

壁と言う壁に大小様々な鎖が掛けられている。

どうやら鎖集めがコイツの趣味らしい。

何だかアブノーマルっぽい趣味だ。


「蟹のポスターくれたんだ。で、それが僕の凄く欲しかったヤツだったから…思わず抱き付いちゃったんだ。」


『わ、大胆だね、シュウ。でも…それがど~して殺人事件に発展するの?』


鎖雪は細い鎖をジャラジャラ弄びながらのん気に訊ねる。


「この前、どっかの茶髪君があいつをお茶に誘ったんだ。それだけならただ嫌だって断っただけだったんだけど、そいつが手を握った瞬間…茶髪君の髪の色が赤く染まったんだよ。投げ飛ばされて。手を握るだけでも半殺しなのに…!!」


『そっか。抱き付いたシュウは全殺しになるってことなんだ。』


「多分。あの時はとっさだったからやられずに済んだけど…今度会ったら…。」


情けない顔でうなだれる週一。

鎖雪は微笑むと、親指をグッと立てた。


『大丈夫だよ、シュウ!』


「その根拠は?」


『会ったら殺されるってことは、会わなきゃ殺されないってことだよ。歐邑さんが忘れるまでできるだけ顔を合わせなきゃいいよ。ね?』


「そうか!!」


今まで自殺志願者みたいな顔してた週一の顔色がパッと明るくなった。


「流石だよ、さゆ!!お前は天才だ!!」


『えへへっ?そう?こう見えてもアタシ、暗記は得意なんだよ?』


…馬鹿兄妹だ。

でも、そんな馬鹿兄妹の中で、1つの事項が決定した。

“しばらく沙紀との接触は控える”

この決定が吉と出るか凶と出るか…その結末やいかに。

【初登場キャラ】

・カグヤ(かぐや姫)

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