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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION7-待ち人、現レズ-
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7-6.召喚!ドリーム童話

所変わってダークキャン・Dのアジト。

雨の日は基本的に外出しない四天王は、幹部特別室(通称:居間)でくつろいでいた。


「キヨスク、台所からミネラルウォーターを持って来い。」


ソファに座って本を読むカイネが命令する。


「何でオレがお前の飲み物持って来なきゃいけねぇんだよ。」


「キヨスク、ついでに私の分もお願いします。」


いつの間に買ったのか携帯電話をいじるコノハが言う。

ディスプレイには美しく舞い散る木の葉が映っていた。

厨が作っていたエンブレムだ。どうやらコノハへのプレゼントだったらしい。


「だから何でオレが!」


「暇そうだからだ。私は忙しくて立てん。」

「本読んでるだけじゃねぇか!」


「私も忙しいです。」

「携帯いじっててドコが忙しいんだよ!?」


何だか散々なキヨスク。

それもそのはず。

前回の戦いでダークキャン・Dの大切な備品、超小型補助戦闘機ヴァンカ=ヒールを奪われたのだ。

あの日はたっぷり皆からなじられ、今日もこうして邪険に扱われている。


と、ドアが開き、ウェキスが顔を出した。


「おい、怪人製作ツール使ったの誰だ?完成のブザーが鳴りっぱなしだぞ。」


「あ、私です。」


コノハが携帯をポケットにしまい、立ち上がる。


「コノハ。新規怪人を作ったのか?」


カイネが訊ねると、コノハは無表情のまま頷いた。

…最近は笑ったりするようになったコノハだが、それは厨と一緒にいてこそ。

やっぱり普段は無表情なのだ。


「はい。明日、晴れたら出撃させようと思っています。自信作ですよ。」


「そうか。では、私のマッド歯磨き粉も連れて行け。1体では役に立たん怪人だが、何かの足しにはなるだろう。」


…ってことは、明日の怪人は2体。

しかも1体はコノハの自信作。

ウゴクンジャーも大変そうだ。

まあ、晴れたらの話だけど。


◇◆◇


「ったく、こんなザコならあたしが来なくてもよかったね。」


翌日の町野中公園。その一角で沙紀は溜息を吐いた。

彼女の足元にはマッド歯磨き粉の遺体がある。


「マッド歯磨き粉…大したことなかったなぁ…。」


例のロングドライバー(週一は蟹ブレードと名付けた)を持った週一は苦笑する。


「うん。泡ブク光線、ノロかったしね。」

「典型的なザコだな。」


綾と冥介もうんうん頷いた。


「…まさか、マッド歯磨き粉がやられるとはッホン。」


で、4人の前には巨大な本の怪人が。

昨日コノハが言っていた自信作の怪人だろう。

でもどう見ても強くなさそうだ。

顔もなく、ただ本の四隅に手足がくっ付いてるだけの投げ遣りなデザインの怪人だし。


「でも、マッド歯磨き粉が暴れてたお陰で、このドリーム童話様の情報収集は完了したッホン。もう僕君は最強だッホン。」


そう、ウゴクンジャーが出撃した理由とは、次々に本屋を襲撃して童話を万引きしていくダークキャン・Dの凶行からだった。

そういえばマッド歯磨き粉とチンパンGを始末している間、コイツはずっと盗んだ童話を読んでいたような…。


「変身とかするの?」


綾が訊ねる。


「しないッホン。その代わり…、いでよ!童話の住人!!」


カッ!!


眩い光と共に、地面に魔方陣っぽいのが現れる。

そして…!!


「…何だよ、コイツ…。」


驚いたような呆れたような声を、週一は洩らす。

光が晴れたその場所には、何だかよく分からないヤツが立っていた。


日本一というロゴの入った旗を持った中学生くらいのガキんちょ。

なぜか日本刀を脇に差しており、桃の絵が描かれた妙な和服を着ている。

頭はちょんまげだ。


「鬼はどこだ!?」


そいつは出てくるなり、そう叫んだ。


「桃太郎!そいつらをやっつけるッホン!!」


ドリーム童話が命令すると、そいつ…桃太郎は怪訝な顔をした。


「…オラが倒すのは鬼だけだぞ?鬼はどこだ?」


「鬼なんてこの世界にはいないッホン。いいからそいつらを倒すッホン!」


「そんな馬鹿な!オラ、鬼さ倒して故郷に錦を飾るんだ!」


「黙るッホン!お前はこの僕君が童話の世界から呼び出したドリーム戦闘員だッホン、僕君に従って悪の限りを尽くすッホン!!」


その言葉に桃太郎は愕然とする。

そして、膝をつき刀を抜いた。


「何する気だッホン!?」


「鬼のいない生活なんてクソだ!それに、オラは悪の限りなんて尽くしたくない!」


ドスッ!


で、切腹。

その瞬間、桃太郎は光の粒になって消滅した。

一部始終を見ていたウゴクンジャーの面々は無言だったが…綾が口を開いた。


「…ええと、それで?」


話を整理すると、ドリーム童話っていうアホは、どうやら自分が読んだ童話からその中の登場人物を召喚することができるっぽい。

なかなか強力な能力だ。

で、早速呼び出したわけだけど、呼び出した桃太郎は戦闘嫌だってことで自害。

消滅しちまったってわけだった。


「ち、ちくしょうだッホン!まさか桃太郎が役に立たないなんて!こうなったらどんどん呼び出してやるッホン!!…出でよ!童話の住人達!!」


再び眩い光が迸った。

そして現れたモノは…。

地面に転がってる栗(猿蟹合戦より)と普通の斧(金の斧より)。

逆さになってジタバタしているウミガメ(浦島太郎より)に、傘を被ったお地蔵さん(傘地蔵より)。

そしてガラスの靴を持ってる王子様シンデレラよりだった。


「…うわぁ。」


思わず声を洩らす週一。

どいつもこいつも…どうしようもない。

動けるヤツはウミガメと王子様だけで、ウミガメの方はすでに行動不能だ。

しかも。


「姫!?姫!?わ、わたしの愛するシンデレラは!?」


王子様は錯乱したように叫び、辺りをキョロキョロ見回す。

そして、シンデレラを求めてどっかへ猛然と走り去って行ってしまった。

で、彼の姿が見えなくなった直後、何かがぶつかる音&ブレーキ音が聞こえた。


…。

これで戦えるヤツはゼロに。


「…ええと、ドリーム童話、だったっけ?もう少しマシなのを呼び出せないの?」


大きな溜息を吐きつつ、沙紀が言った。

敵にそういうことを言うのもアレだけど、この場合は誰でも言いたくなるだろう。


「余計なお世話ッホン!でも…おかしいッホン?もっと呼び出したはずなのに?」


不思議そうに呟くドリーム童話。

その時、ドリーム童話の足元でプチって音がして、小さな悲鳴が聞こえた。


「…?」


足をどかしてみるドリーム童話。

そこには5cmほどの武士っぽい小人がぺちゃんこになっていた。多分…一寸法師だ。


バシュ!!


消滅する一寸法師。

どうしようもない沈黙が、その場を流れた。

【初登場キャラ】

・マッド歯磨き粉

・ドリーム童話

・桃太郎、栗、普通の斧、ウミガメ、お地蔵さん、王子様、一寸法師

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