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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION7-待ち人、現レズ-
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7-2.週一君気絶中の出来事

『週一です。今、電話に出られない状況にあるか、もしくは携帯するの忘れているかしています。それじゃ携帯電話の意味ないですよね?すいません。あ、御用のある方は、ピーっていうよりピロピロっていう方がしっくりくる発信音の後に、』


ブチッ…


沙紀は留守番サービスに繋がった電話を切った。


「…授業、もう終わった時間のはずなんだけど。」


筑紫短大(ウェキスと初めて戦闘した場所)の前を歩きながら彼女は呟く。

ブランド物じゃないんだけど、多分ケバい女子高生or女子大生が携帯しているブランドバッグより高そうな鞄からは、丸くまとめたポスターっぽいものが覗いている。

と、彼女はそのポスターに値札が付いているのに気付いた。


「っと、剥がし忘れてた。」


その値札を剥がし、近くのゴミ箱にポイってやる沙紀。


「今日は帰るかな。…また明日があるわけだし。」


そして彼女は踵を返し、もと来た道を戻っていく。

明日があるとか言ってたくせに、微妙に機嫌が悪そうだ。

もし痴漢とかが今の彼女を襲ったら、いつもは半殺しですむんだけど4分の3殺しくらいに増量されそうだ。

彼女が去っていった後、ゴミ箱に捨てられた値札が風で飛び出す。

その値札に記されてあった金額は…2万5000円だった。


◇◆◇


ピンポ~ン


町内某マンション。

その一室にチャイムが鳴り響いた。

冥介はインターホンの受話器を上げ、画面を見る。


「何か?」


『八又乃さんのお宅アルか?毎度アル!寛和かんな蕎麦、ご注文の蕎麦届に来たネ。』


微妙に発音が変な声が返り、画面にヒヨコ柄のラーメンどんぶりを被った少女が映し出された。

胸に寛和蕎麦って刺繍された拳法着を着ており、元気が有り余ってますって笑顔でカメラに頭を下げる。


「ああ、蕎麦が来たか。今開ける。」


冥介はロックを解除し、ドアを開ける。


「ご注文は『ざる蕎麦』、『冷やしとろろ』で間違いないアルか?」


店員の少女は笑顔で訊ねる。

冥介は頷いた。


「どうもアル!じゃあ、ごゆくりどうぞネ。またしばらくしたら、食器取りに来るアル。ええと、お会計は1280円ヨ。」


「丁度だ。」


代金を手渡す。

少女はそれを確認し、再びペコリと頭を下げた。

なのにラーメンどんぶりは落っこちない。

謎だ。


「確かに1280円、お預かりネ。今後とも寛和蕎麦をよろしくアル。」


そう言うと彼女は出て行った。

冥介はしばらく無言で彼女の出て行ったドアを見ていたが、やがて呟いた。


「…今の店員、なぜ蕎麦なんだ。ラーメンの方がしっくりくるんだが…。」


確かに。


◇◆◇


「ふふふん♪ふん♪ふふんふん♪」


綾は微妙に外れた音程でハミングしながら路地を歩いていた。

耳に装着したイヤホンからは音漏れが激しい。

音漏れ防止機能が相当高い最近のイヤホンから音漏れするなんて、相当凄まじい音量で聞いているのだろう。


「ふん、ふふん♪ふふんふん♪」


音楽に夢中で周りが見えてない綾は、コンビニ裏にたむろしていた不良高校生っぽい奴ら×3に突っ込んで行く。

向こうはガン飛ばしてるので、普通は避けて通るんだけど、高校生×3のガン飛ばしなんて彼女の面の皮の厚さの前では意味をなさなかった。

で、そいつらのちょうど真ん中を突っ切る綾。

高校生達は額に青筋を浮かばせて立ち上がった。


「おい、てめえ…喧嘩売ってんのか!?」


「ふふん♪ふふふん♪」


高校生の怒声も綾には届かない。

シカトされた高校生の1人がブチ切れ、綾の肩に掴みかかった。


「聞いてんのか!?てめ、」


そこまで言った時点でその高校生は宙を一回転した。

で、背中から地面へ激突。


「ぶっ!?」


ドンッ!!


咳き込みかけた高校生の腹を綾は追い討ちのように踏みつける。

哀れな高校生はそれで意識を失った。


「!?なっ、て、てめえ、何しやがる!?」


残り2名が血色を変える。

と、綾が振り返った。


「…いきなり掴みかかって…。さては君たち痴漢ね?」


鬼神の形相の綾。


「はァ!?何言ってんだ!てめえが俺らの前を、」


「ふんっ!!」


バキャッ!!


喋りかけた高校生B(仮)の顔面に綾の拳がめり込む。

で、そいつも卒倒。

あっという間に残り1名になっちまった。


「高校生で痴漢なんて。まあ、確かに私は魅力的だって前から自分でも思ってたけど、それでもダメよ。全く、親の教育はどうなってんのよ。」


やれやれとばかりに溜息を吐く綾。

残った高校生C(仮)は後ず去る。


「おい、ちょっと待てよ!俺らは痴漢じゃねえって!!てめえ…いや、あんたが俺らの間を通ったからムッときて、それで、」


「でやっ!!」


ドンッ!


綾の蹴りが炸裂し、高校生Cはそれを間一髪でかわす。

でも彼の後ろにあった道路標識にヒットして、それは30度くらい曲がった。

危険なパワーだ。


「ちょっと!せっかくお姉さんが親の代わりに愛のムチを叩き込んであげようと思ったのに避けないでよ!痴漢は許せないんだから!!」


「ひいっ!?だ、だから痴漢じゃないって言ってるだろ!?」


「はぁ?何言ってんのか聞こえないわよ!!」


確かに音量最大で聞いてちゃ他の音は聞こえない。


「そんなの聞いてるから、」


ドゴスッ!!


正当な意見を言おうとした高校生Cは、綾の左フックを顎に受けて卒倒した。

崩れていく高校生Cを見届け、綾は大きな溜息を吐く。


「全く、どうして高校生とかってこう悪いのが多いのかな?親の顔が見てみたいよ。」


イヤホンから激しい音漏れを響かせながら呟く綾。

多分、この一部始終を目撃したヤツがいたらこう言うだろう。


…オマエの親の顔の方が見てみたいよ。って。

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