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【 電子書籍化】私の人生にあなたは必要ありません〜婚約破棄をしたので思うように生きようと思います〜  作者: 雅せんす
番外編

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3巻 電子書籍記念SS 父さんは縄

セシリアとバルドがアルロニア帝国に行って、子供も出来て落ち着いた頃の未来のお話です ♪

「母さん〜!!」

 私が帰ると、うわ〜ん!とディアが大泣きして抱きついてきた。


 バルドさんにそっくりの濃い金の髪に、青空のような瞳の、容姿もバルドさんにそっくりのアールディアは明るく元気で滅多に泣くことはない。


「ディア?どうしたの?」

 私は驚いてディアを抱き上げた。

 背中をそっと撫でると、ひくっひくっとしながらキュッと私に抱きついた。


「バルドさん、ディアはどうしたの?」

 ディアの後ろにいたバルドさんが、困ったように眉を下げた。


「う〜ん、実はディアが友達から、俺が家のことやって、セシリアがお城で働いてるのは変ってからかわれたみたいで……」

 あ、なるほどと納得した。


 容姿の可愛らしいディアは、興味を引こうとする男の子によく意地悪をされてしまう。

 いつもは気にしないで帰ってくるのだが、今回は自分でも他の家と違うと思っていたことをからかわれてしまい気にしてしまったのだろう。


「ディア、ほら、母さんと父さんとお話ししよう?」

「……うん」

 ディアの涙をハンカチで拭くと、私はディアの好きなココアのラテアートを作った。


「ディア、何を描いてほしい?」

「ディアは筋肉!」

 ココアのラテアートを前に元気にディアが答えた。

 筋肉……。なかなか難しいお題だ。

 私はバルドさんの上半身裸をラテアートで描いた。


「ブッ、俺の体だ」

「だって、筋肉と言われてバルドさんの筋肉しか思い浮かばなくて」

 バルドさんがクックックッと楽しげに笑うから、私は顔を赤らめた。


「バルドさんは何がいい?」

「じゃ、レンゲの花冠を頼む」

「父さん、ディアがあげたレンゲの?」

「そ。上手だったよな?」

 バルドさんとディアが、タチアナ叔母さんのお家の近くの林にお散歩に行った時に作ってきてくれたレンゲの花冠を思い出す。


「じゃあ、母さんもそれにしようかな?」

「うん。また本物作ってあげるね」

「ありがとう。ディア」

 私は、満面の笑みのディアのまろいほっぺにキスをした。

 

「さて、なんでディアのお家は他のお家と違って、父さんがお家のことをして母さんがお城でお仕事をしているかお話ししようね」

「うん」

 ココアのラテアートをくるくるとかき混ぜると、ディアがコクリと飲んだ。


「あのね、ディア。人には適材適所があるの」

「てきざいてきしょ?」

 ディアがコテリと首を傾げた。


「そう。父さんは、お料理もお掃除もとても上手でしょう?」

「うん!ディア、父さんが作った煮込みハンバーグも、お花のクッキーも大好きだよ」

 私はニコリと微笑んだ。


「うん、母さんも大好き。美味しいね」

「ね〜!」

「よし、じゃあ今日の夕飯は煮込みハンバーグにするか」

「やった〜」

 バルドさんがディアの頭を優しく撫でた。


「ディア、母さんがお城で働いているの見に行ったことあったろ?どうだった?」

「すっごく、格好よかった」

 ディアが目を輝かせた。

 我が子に褒められるのは気恥ずかしいが、とても嬉しい。


「だろ?料理が好きな父さんがお家のことをやって、お城で格好よく働く母さんが外で働いてるのはおかしいか?」

「全然おかしくない。あ、それが適材適所?」

 私は頷いて、ディアのは口の周りのココアを拭いた。


「そう。父さんも母さんも、自分が楽しいなって場所で働いているだけなの。それで、ディアをからかって泣かせるのはおかしいよね?」

 そこで、ディアは思い出すように涙目になった。

 よっぽど悔しかったのだろう。

 私も胸が痛んだ。


「父さんのこと、ひもって言われた」

 私はその言葉にぐっと唇を噛んだ。

 きっと、それはその子の親も言っている言葉なのだろう。

 バルドさんは顔がよいから、そう言われてしまうことがあった。

 私がお城で働くことも嫉妬される原因の一つだ。


「違うよね!?」

「もちろん違うよ」

 私がディアの小さな手を握って否定すると、ディアがホッとしたように表情を緩めた。


「そうだよね、父さんそんな細くないもんね」


 ん?

 私はよくわからない言葉にバルドさんを見ると、バルドさんが横を向いて肩を震わせていた。


「父さんは筋肉すごいし、料理上手で格好いいのに、あんなヒョロヒョロの頼りないひもじゃないよね!」

「ブハッ」

 とうとう、バルドさんが吹き出した。


「そ、そうだね……?」

 私はよくわからないながら肯定すると、ディアが元気に言った。


「父さんは縄だよね!」


 バルドさんが堪えられないように笑い出した。

 なるほど。どうやら泣いたのはバルドさんをヒョロヒョロの細いひもなんて言われたせいか……。


「……プフッ」

 私もどうにもおかしくて吹き出した。

「なんで、父さんも母さんも笑うの!?」

 ぷんぷんと怒るディアが可愛くて、ますます笑ってしまった。

 

お読みくださり、ありがとうございます。


⭐︎ラジオドラマのお知らせ⭐︎

関西ラジオ様でラジオドラマが放送予定です ♪


第1回は、9/20(土) 22時20分〜22時30分です。

セシリアが、バルドが声で楽しめる o(^▽^)o

全5回で、毎週土曜日です。


ぜひ聴いてくださいませ〜 ♪


⭐︎電子書籍のお知らせ⭐︎

『私の人生にあなたは必要ありません〜婚約破棄をしたので思うように生きようと思います〜』

1〜2巻、大好評発売中です。


3巻、コミックシーモア様より予約開始しました!

9/25(木) 先行配信です。

これにて完結です!


・コミックシーモア特典SS

「私の名前を呼んでほしい」


・番外編は3つ収録

「アレを怒らせてはならぬ」エリザベート視点

「リューゼン・ガルオスの願い」リューゼン視点

「いい夫婦の休日」バルドとセシリアの甘々な一場面


ぜひ読んでいただけたら嬉しいです o(^▽^)o


https://www.cmoa.jp/title/1101459278/vol/3/


挿絵(By みてみん)


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『私の人生にあなたは必要ありません〜婚約破棄をしたので思うように生きようと思います〜』       html> ☆ 好評配信中 ☆ html> ☆ 好評発売中 ☆ html>
― 新着の感想 ―
これ以上好きにさせてどーするつもりですか!?
本人達は態々事情言わないだろうけど後からバルドが主夫してる背景知ったら陰口叩いた羞恥で真っ赤になったり真っ青になるやつ
縄(*°∀°)・∴ブハッ!!w
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