1-4 本日は驚きの連続で
「なんだよ、これ」
俺の体がゴリラになっていることに気づき、俺は”落胆”というよりは、”驚き”をまっさきに感じた。
「だから、どうしたんだよ」
俺より大きなゴリラ(大ゴリと呼ぼう)は質問を投げかける。質問してくれるだけでありがたい。
とりあえず情報がほしい。
「いや、あのここってどこですか?」
「はあ、お前どうやってここまできたんだよ。ゴリラ族は今や数は200ほどと言われる、少数の種族だぜ。仲間を探しに来たのだと思っていたが。」
「ゴリラ族って、ゴリラは動物だろう?」
そう言うと、大ゴリは顔を歪めた。
「......動物ってなんだ?」
なにか嫌な予感がして、俺は聞いた。
「この世界ってなんなんだ」
「世界だなんて、何を言っているんだか。この世界は正真正銘、魔王様が統治するたのしい、たーのしい世界だぜ」
やっぱり、ここはあの、”異世界”のようだ。
「ちょっと考えさせてくれないか」
そういって、俺はふらつく体を頑張って動かし、外へ出ていった。
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まず、情報を整理しよう。
この世界は、異世界であるということ。
そして、俺は推測だが、一回死んでいるということ。
最後に、一番大事であろう、俺がゴリラになっているということだ。
今必要なのはやはり情報を集めることだろう。
とりあえず、大きく息を吸い、大ゴリのもとへ足を運んだ。
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「俺、実は記憶喪失なんだ」
記憶喪失である。そういえば、何か情報が得られるのではないかという小さな賭けだ。何か忘れているかもしれないし、1割の確率で本当だろう。
「ほんとにそうかねえ、頭がおかしいだけじゃないのか?」
大ゴリは笑ってそういった。
「信じてくださいよ、俺、この世界について何も知らないんです」
すると、いままでとは正反対の表情で話し始めた。
「この世界では魔王様が統治する国が複数ある。その国の中の一つの村に当たるのがこのビギネ村だ。ここにはゴリラ族がすんでいる。しかし、もう俺らの勢力も近くの村との抗戦で60程に減らされてしまった」
「そこで、お前に質問をしたい。お前、ここで住む気はないか」
「まあ、ここらにはいろんな化け物が出るけどな!」
「そんなとこに住むかよっ!」
俺は思わず大声で反論してしまった。住みたくないしな。
しかし、いわれてみれば何も考えていなかったことに気づき。ため息をついた。
すると、大ゴリは口角をにやりとあげた。
「少しここから離れるが、森に近い場所に一軒のきれいな小屋がある。そこには毛布や食料があるからそこに住むのはどうだ?」
「それで決まりだ。」
俺は安堵し、大ゴリとともに小屋へと駆け出した。
これから主人公の”異世界”での生活をくわしくかいていきたいと思います。
まあ、こんな作品ですし、気楽に読んでください。