1-3 なにかが一本線となるとき、人は恐怖を覚えるだろう
はあ、気持ちは沈んでいるが、目を覚ました。
三度目の起床。
さっき、俺はゴリラから逃げ、その道中で石に足を取られ、ダイナミック着地をして、バッドエンドを迎えたはずなのだが。
今度目に入ってきたのは、昔ながらの木材の天井だ。
石柱で支えられているようだ。
これを見るに、現代日本の建築ではない模様。
日本じゃないね!
まあ、ジャングルだったしな!
落胆する気も失せ、周囲を探索しようとする。
しかし、ふらついてうまく立てない。
ふいに、手を頭に触れさせると包帯が巻いてあるようだ。
手当してくれたのか、やはりここには文明が築かれているようだ。
外には、人影が見える。
少し大きいような気もするが、ここはジャングルだしな!
「手当ありがとうございます」
「あ、さっきの頭おかしいやつ、起きたのか」
さっきの人か。
ここまで運んでくれるなんて。
てか、日本語が通じるのか。
気づかなかったが、かなりの科学力を持っているとか。そんな大きな都市であったのかもしれない。
そうして、少し大きな人の顔を見上げようとすると、その顔は体毛につつまれており・・・・・・ゴリラであった。
「へ?」
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ゴリラだ。ゴリラが話している。
今までのモヤモヤが一本線になって、心が整理された気がした。
「失礼かもしれませんが、あの、ゴリラですか?」
「何いってんだ、お前と同じゴリラだろ、お前、ほんと頭大丈夫か?」
そういって、ゴリラは後ろにある大きな鏡を見るように促した。
何を言われているかわからず、鏡を見ると小柄なゴリラが写っている。
まさか。
そう、俺はゴリラになっていたのだ。