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狂科学者は贈り物をする。


 「......で、今日は何の用だ?」

 「新しい魔道具を作ったからお裾分けしに来た。領地管理に役立ててくれ。」


 ほれ、とマジックサイトを机に置けば、メルガルト公爵はそれを手にとってまじまじと観察し出した。

 「ふむ......これはどのように使うのだ?」

 「その前に一つ必要なものを玄関まで届けさせているからそれを搬入していいか? 少々大きな魔道具でな。」


 「構わん。」

 公爵から言質が取れたので魔力炉とバッテリー、データサーバーを一体化させた装置を抱えて運び込む。


 「この部分だけ日がよく当たる場所に置いてくれれば魔力を自動で充填できる。」

 そう変換用の板を指しながら説明し、そこから延びる長いコードの先をマジックサイトと接続する。


 俺専用のやつ以外は有線での充電が必要なのだ。

 消費する魔力が一般人よりも少し多いがゆえに。


 「で、こんな風に掛けてくれ。」

 そう言って自分でも掛けて見せる。


 「こうか? っ!?......これは......」


 次々と現れるログの嵐に戦く公爵。

 だが数秒で落ち着き、視界が開けるとそのまま俺の方を向き、

 「驚いた。だがこれはどうやって使うのだ?」

 「右端に何個か飛び出た四角があるだろ? その一番目を押せば、目の前の風景をそのまま記録できる状態に移行できる。取り敢えずそれをじっと見つめろ。」

 

 「......なるほど。目で『押す』のだな。ところで今度は右に赤い丸ができたのだが?」

 「それが記録用のボタンだ。それを目で『押せ』ばその瞬間の風景が記録されるわけだ。ま、やってみろ。」


 「ふむ......押したはいいが、何処から見れるのだね?」

 「赤いボタンの下に四角いマークがあるはずだ。それを押せば今まで撮ってきた風景が出てくる。風景に何か手を加えたいのであれば加工したい風景を押して右上に出てくるマークを押せば消すことも書き込むことも可能になる。これで書類の持ち運びや一括管理が楽になる筈だ。」


 「確かに......」

 「まだ機能はあるぞ? 今見ている画面から意識を逸らしてくれ。全部無くなるだろうから今度は上から二番目の四角を押してくれ。それは計算ができる機能だ。使い方は普通に式を書く通りに数字や記号を押すだけ。税の計算はこれで一発だな。」

 

 「ほう......これはたまげた。」

 「まだ機能はある。今度は上から三番目の四角だ。そこに名前が乗っているだろ?」

 「『研究所』と『ハルト』があるな。」

 「それは今この魔道具が連絡を取れる相手だ。近い内に親父も加わるから宜しく。使い方は連絡したい相手を押して出てきた画面に下に出てきた文字や記号を打ち込むだけだ。向こうからの連絡も見れるぞ。」

 「四番目の四角はメモ機能......覚えておきたいことを書き留められる。」

 「五番目以降にも色々な機能が入っているが......基本的な操作はこれまでのやつと同じだ。暫く適当に操作しながら慣れてくれ。なにか不便なことや質問があったら連絡を取ってくれれば暇なときに返す。」


 


 こんなもんか?

 「何か質問は?」

 「......この魔道具の値段は?」

 値段か。


 「無償だ。強いて言うならばこれからもニコラ商会を贔屓してもらう代金だ。俺はしばらく学園の寮生活でこっちにいないしな。元々は研究所と連絡を取るために作った物だ。ユアの近況とかもすぐに分かるから便利だろ?」


 「いや、これ程の魔道具を無償というわけには......。」

 「じゃあ貸し一ということで。これはあくまでもお裾分け。別に公的な取引じゃないし評判も傷つかないから良いだろ?」

 「む......良いだろう。」


 じゃあここらで俺は退散しますか。

 父さんにも説明しなければならないしな。


 「じゃ、失礼した。」


 


 ****

 


 「......かくかくしかじかってことで、父さんにこれあげる。新作だ。」

 「......説明を聞く限りとんでもない魔道具にしか聞こえないのだが......まあありがたく受け取っておこう。」


 「じゃ、俺は研究所に戻るから。」


 これで取り敢えず研究を継続するための環境は整ったな。

 

 

 



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― 新着の感想 ―
[一言] この世界ならハーバーボッシュ実装出来そう
[一言] 破格は破格だけどアウトプットがプアかなあ あるなら説明サボらないだろうし?
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