狂科学者は同じ轍を踏む。
約四ヶ月。
それがハルトに与えられたタイムリミット。
その期間以内に王都の寮から遠隔で研究を継続できるようシステムを構築する必要がある。
出来なければつまらないガキ共との寮生活が待っているからな。
理想を言えば五感を研究所の機能と繋ぎたいところだ。
助手達にもメインコンピューターの使い方を最低限指導しなければなるまい。
おそらく細々とした作業は助手達に丸投げするしかないだろうし。
指示を出すのも一苦労だ。
形状はサングラスとかVRをモデルに構築して視線操作できれば良いだろう。
前世では脳波やらなんやら測るために大量の電極が必要だったがこの世界では魔法陣の思念読み取り機能で一発だ。
そんなことを考えながら次々と作業台を起動、フレームを組み上げ、処理用の論理魔法陣を組み上げていく。
聴覚は耳に掛かるフレームからの骨伝導式を採用。
視覚は幻影魔法を応用して網膜投影。
操作は視線と瞼の運動、思念を統合してやれば精度が上がるだろう。
通信は無属性魔法を使った共鳴式を採用。
バッテリーは俺自身。
鍛練用の腕輪からも余剰分を供給させて置けば取り敢えず大丈夫だろうな。
メインコンピューターへのアクセス権限を付与し、双方向の回線を開く。
研究所内の全ての魔道具とメインコンピューターを繋ぎ、助手達の居住区画には連絡用ディスプレイを設置。
監視カメラや各種センサーと接続することで研究所内をリアルタイムに把握、防衛迎撃システムも操作できるようにする。
ついでに端末で隠される視界を補うよう前面のカメラ機能に望遠、赤外線感知、音響によるソナーも搭載。
魔力感知機能も可視化できるように調整する。
ここまでで一息。
いい感じに形が出来たので後は助手への教育と足りない物を作るだけだ。
ゴンっ。
む......ん?
転けたか?
体が......上手く......動かない。
突如襲ってきた強烈な倦怠感にハルトは意識を手放したのであった。
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