狂科学者は脳を詰めたい。
頭蓋骨
それはやわらかい脳みそを収める容器であり防壁だ。
外部からの衝撃を殺して内側に満たされた髄液でさらに和らげる。
そしてチタンは生体との適合性が非常に高い。
魔法で処理すればより良い。
なら究極的には頭蓋骨はチタン製でもいいというわけだ。
丁度実験体がいることだし、試してみよう。
というわけでハルトは慣れた手つきで準備を始める。
首だけの被検体から適当に選び出し、スキャンしたデータをもとに脳を格納する容器を作り出す。
なんか声が出ないから口だけでパクパクしているがガン無視。
拒絶反応を抑制する効果を組み込んで生命維持装置と接続、義眼をはめ込み、配線を視床の部分へ伸ばす。
聴覚も機械化するために鼓膜の機能を再現した魔法式のマイクもくっつけ、これもまた配線を視床へ伸ばす。
その他各場所に触覚用のセンサーを埋め込んで背骨が伸びる場所には入力端子を埋め込む。
最後に選抜された被検体の頭を培養液に漬け込み、中でゆっくり解体しながら素早く、だが丁寧に生命維持装置のパイプを融合させていく。
そして各感覚器官と接続させながら人工頭蓋骨へ入れ、隙間を髄液とそっくりの成分をした人工髄液で満たす。
最後に信号増幅用の魔力バッテリーを組み込み、念のため治癒魔法をかけていく。
新しい器に適応していく様子を強くイメージしながらかける。
突然五感の信号が受け取れなくなったせいで発狂させるわけにもいかないからな。
仕上げにちょいちょいっと顔面の骨と筋肉も付けて上から人工皮膚を張り付ければ禿げ頭の完成。
すまん、鬘がなかったんだ。
瞼らへんの筋肉配置が微妙に大変だったが立派なチタンの脳詰め魔道具を添えて~の完成だ。
脳波も安定してきているし後は助手に見張らせよう。
ハルトが出ていき、部屋の中に一つ置かれた生首だったもの。
そして入ってくるリエラ。
ガチャリ。
―――ピクリ
「あれ? ちょっと動いた?」
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