狂科学者の会話。
「よう。」
地下の実験室に降りたハルトはそう声を掛ける。
「調子を見に来たが......その様子では大丈夫そうだな。脳波も安定しているし。」
「ああ、肺がないから声がでないだろう? 無理に答えなくて良い。」
「結局数人しか残らなかったな。おめでとう、君達は生き残った。」
元は数十人いたんだけどな......とぼやくハルト。
「今度発声器官を再現する実験をするからそれまで会話はお預けだ。」
まあ成功する可能性も高くはないけどな。
「それまでは精々耐えてくれたまえ。」
「途中で発狂した者は処分するので気を付けろ?」
壊れた脳は解剖に回そう。
助手達に解剖学を教える手助けになってもらおうじゃないか。
「後暇潰し程度に本が読めるから、それは自由にしろ。」
そう言ってコンピューターの画面を運び、起動する。
全員の頭には意思を読み取るデバイスが取り付けられ、カーソルを自由に動かせるようになる。
いくら解剖に回せるとはいえ貴重な実験体だ。
使い物になる期間は長い方が良い。
「じゃあな。また明日も来る。」
やはり返答はない。
それもそのはず。
ハルトが話しかけていた者達は皆、首を切られ、断面に機械を取り付けられて漸く生命を保っていたのだから。
目は見えるし耳も聞こえる。
だが動けないし、話せない。
外部出力が出来ない今、彼らの目は濁り、沈み、その様子は廃人の様。
辛うじて自我を保っている。
そんな彼らが何を思ったかはハルトも知らない。
面白い! 続きが気になる! という方はぜひブックマークと下の☆をクリックお願いします。
感想、気になった点、世間話、その他ありましたら是非書いてください。




