狂科学者の防衛戦
『ビーッビーッ』
研究所に設置されたメインコンピューターが警報を鳴らす。
どうやら来たようだ。
対策は取ってあるので慌てず俺は手元のキーボードで用意していたプログラムを走らせる。
その名も『対魔法防衛&捕獲プログラム』
研究所全体に設置された防衛システムが起動し、昼のうちにタンクに溜め込んでいた魔力を惜しげもなく消費しながら結界の展開と維持、エーテルキャノンの発射を行う。
飛んでくる魔法を結界で防ぎつつ高威力の魔法を弾道計算して撃ち落とす。
ある程度消耗させた後に捕獲プログラムを起動すれば襲撃者達に触れるか触れないかギリギリのところへ光線が放たれて行動を封じる。
たった二つの操作だけで防衛を完遂したハルトは助手たちを起こして外に行き、襲撃者達を確保した。
魔力式スタンガン一発で全員昏倒したし、意外と魔法対策はしていなかったらしいな。
下手に暴れられて実験体が減ったなんてことにならなくてよかったよかった。
全員気絶している間に拘束し、パワースーツを着た助手たちの手を借りて地下の実験室兼収容所へ運ぶ。
こんなこともあろうかと地下に実験体を収容しておくスペースを作っておいたのだ。
ベッドは起きたとき背中が痛いこと間違いなしの薄いやつ。
予算もそこまでかけられないし、襲撃者に慈悲はない。
多分数週間後には何人か試験管送りになるだろうし。
大っぴらに実験できないから人間相手の投薬データが今のところないしそこらへん頑張ってもらおう。
データが取れたら病院を始めるのも良いかもな。
「お、起きたか。」
将来の計画を考えながら地下に降りたハルトは目を覚ましている実験体を見つけた。
こいつはどの実験に回すか......
今一番必要そうなのは......あそこだな。
「丁度人間用の生命維持装置のデータが不足していたし、こいつはそっちに回そう。」
テーマは栄養と酸素があれば首だけでも生きられるのか。
生命維持というのは病院を作る時に最も重要な要素となるだろう。
なぜか脳が死ぬと治癒は効かないのだ。
だから取り敢えず、
首から下は、要らないよね?
安心しろ。
感染で死なないよう清潔感溢れる素晴らしい環境を提供してやるから。
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