狂科学者の防衛システム。
「ハルト?」
「何? 父さん?」
「サルマ商会って知っているか?」
確か......ニコラ商会の次ぐらいにでかい商会だったような......
「それがどうかした?」
「ああ、その商会がな、少し怪しいんだ。」
「ん? どういうこと?」
「最近火属性の魔法使いを大量に雇い始めている。恐らく何か企んでいるのだろう。こちらを対象にしているとも限らないが、一応用心はしておけ? 私からも何人か護衛は送るが。」
ふむ......相変わらず物騒な世界だな。
いい機会だ。研究所の防衛システムも構築しておいた方が良さそうだ。
......待てよ?
これは使えるんじゃないか?
奴隷を過度に乱暴な扱いをすると持ち主は罰せられるというし、大胆な改造は諦めていたが......
これは実験体確保に使える。
襲撃してきた奴等を跡形もなく消し去っても正当防衛が成立するこの世界。
防衛と実験体確保を同時に行ってしまえば一石二鳥だな。
ちょうどコンピューターもできたことだし、人の出入りをIDで管理することも可能になった。
体内に小さなインプラントを仕込むだけだからお手軽だ。
持っていないやつが侵入しようとすれば、警告の後に実験室送り。
素晴らしいシステムが作れそうだ。
隔壁を作ってIDを持っていないものは電撃で気絶し、収容される。
いや、いっそのこと隔壁内にエーテルを散布してIDインプラント所有者は有毒物質を体内で分解できるようにしてみればどうだ?
そうすれば助手たちの保護にもつながる。
その前にいろいろ仕掛けないといけないな。
荷重を計測したり赤外線を感知する魔道具を仕込んで些細な変化から侵入者を発見できるようにしなければ。
光学迷彩で来られても体重は消せないからな。
わくわくしてきたぞ。
そしてノリにノったハルトは研究所が所有する敷地の至る所にトラップと監視網を張り巡らせ、屋根にはエーテルキャノンの固定砲台と結界展開用魔道具を大量に設置、その全てをメインコンピューターと接続し、迎撃捕獲プログラムを組むことで防衛システムを完成させたのであった。
自身も含め、助手達に手術を施した今、ハルトの研究所はこの世界でもトップクラスの防御、迎撃、さらには機密管理能力を誇っているのは間違いないだろう。
......本人に自覚があるかどうかは別として。
面白い! 続きが気になる! という方はぜひブックマークと下の☆をクリックお願いします。
感想、気になった点、世間話、その他ありましたら是非書いてください。




