狂科学者の評判
「最近ニコラ商会の羽振りが良すぎる。」
「ああ、最新の石鹸といい、魔石の魔力充填も格安でしているのようだな。何でも治癒院にも高品質の薬を卸しているとか。」
「どれもこれも既存の商品とは違った方向性だ。」
「ところで例の石鹸の安い製法はまだわからないのか?」
「まだだ。新しい魔道具を用いて値段を下げているようだが、これがまた謎なのだ。」
「なんだと!? 錬金術師達は何をしているのだ! 現物があるなら複製できるだろう?」
激高する太った男に、針金のように細い男は、
「落ち着け、決して我が錬金術師達がさぼっているわけではない。さっき言っただろう? 謎だと。」
「何が謎なのだ。魔法陣を見れば全て理解できるというのが奴等の取り柄ではないか。」
「その魔法陣が見えなかったら話は別だぞ?」
「......なに?」
「だから魔法陣が見えなかったのだと言っている。」
「ではどのようにして刻んだというのだ!?」
「それはわからん。ただ向こうの使っている魔道具は何処からも仕入れた痕跡がない。」
「......! まさか。」
「そうだろうな。奴等は内輪で魔道具の開発を行っている。」
「......どこの部門だ。」
「それには目星がついている。これから言うことは少し信じられないだろうが、真面目に聞くことをお勧めするぞ。」
「......わかった。」
「商品開発研究所だ。最近建てられたと噂の。」
「......は? あのアランが息子への贈り物に建てさせた?」
「ああ。どうやら道楽ではなくしっかり中身があったようだが。そこだ。」
「根拠は?」
「そこで桁違いの魔力反応を何度も確認した。あのドラゴンスレイヤーのレントもドラゴンの素材を流しているうえに、本人も最近通っているようだ。」
「たしかレントは......アランの弟だったと記憶しているが?」
「そうだ。おまけに奴の義手は義手とは思えない程自由自在に動くそうだ。それも関係があると踏んでいる。」
「成程......危険だな。」
「ああ、我々が予測していたよりも遥かに。」
「予定を早めるか。」
「それがいいだろう。狙いはあの施設だ。おそらくあれが心臓となっているはず。」
「人選には気を付けろ。全員切り捨てられる奴らを使え。」
「分かっている。」
二人はグラスを掲げ、
「「サルマ商会に繁栄あれ」」
乾杯をしたのであった。
休校が終わったので更新頻度が少し落ちると思います。
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