狂科学者のコンピューター開発(1)
高度な計算にはコンピューターの存在が不可欠。
俺は十年に満たない異世界研究ライフでそう悟った。
俺がいくら天才であろうとも七百桁の加減乗除何てできないし、座標の計算も紙媒体に書き出して整理することなしには行えない。
どんな数値も七セグメントの視覚情報に変換しなければ俺を含め人は物事の大きさを正確に観測できない。
同じ計算を数億回もミスなく試行することだって時間的制約と寿命、その他諸々の制約から不可能だ。
コンピューターとは与えられた数値を与えられた命令に沿って必要回数演算する装置だ。
抽象的な情報で思考する人が二進数で論理的に思考するために創り出した外部装置。
前世では相棒であったそれの欠如は俺の精神に多大なストレスを加えていた。
魔道具の研究をしても魔力の正確な数値化ができないからなんとなくで制作するしかないし、薬品の濃度計算も一苦労だ。
グ〇グル先生の代わりに鑑定眼があるとはいえ、それだけでは制約が多すぎる。
これから作ろうと思っているタレットも弾道計算とターゲット認識ができなければ只の案山子だ。
というわけでコンピューター無しにこれ以上の研究をするのは無駄が多い。
俺はそう結論を出した。
まあ電力の代わりに魔力で動くだろうが、定義上はどっちもコンピューターだ。
様々な論理素子や回路も最近開発した論理魔法陣で代用できる。
この世界では幻影を作り出す魔法があるからディスプレイの開発も当てがある。
後は、
俺のやる気だけだ。
資金も潤沢にあることだしな。
そういうわけでハルトの異世界コンピューター開発は始まった。
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