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狂科学者の父②


 ハルトがまた変なことをしだした。


 その知らせをハルトにこっそりつけていた護衛から受けた私は、ハルトへ与えた研究所に向かった。


 前回はネズミの首に何やら突き刺して義手を動かさせたり、パワースーツという全身に取り付けて力を補助する魔道具を作ったりなどとなかなか精神にダメージが来る研究をしていたし、今回も何をしだしたか皆目見当がつかない。


 そんな感じに戦々恐々と研究所へ向かった私は、ふと空を仰ぎ、あるものを見た。


 それは気のせいだと思うほど一瞬だった。

 だが私の目には研究所から放たれた光の柱がはっきりと映っていた。

 濃密な魔力の気配が立ち上っているのがわかる。

 それと同時に空高く建っていた何かが消えせているのを見て、私は何となく気付いた。


 

 ―――今度は何か危ないものを作っていると。―――


 それも、間違いなく前回よりヤバい何かを。



 そう悟った私はさらに足を急がせて向かったのであった。





 ****





 そして、愛する息子を視界に収めた瞬間、私は全てを理解した。


 ハルトは、武器を作っていたのだ。

 それも国が専門機関に年単位で研究をさせ、作り上げさせるような魔法兵器を。

 いや、それすらも軽く足蹴にできる代物の可能性もある。

 そこら辺に散らばっている破片は......ドラゴンの鱗にしか見えない。

 つまり世界でも一二を争う素材を打ち砕ける何かがそこにあるわけだ。


 


 正直なところ、私はハルトがどれ程の技術力を持っているのか知らない。

 ハルトは新商品を作る毎にそれを作るための魔道具も提供してくる。


 ではそれを解析すればいいと普通はなるが、ハルトの作る魔道具、そのほとんどが解析できなかった。

 ニコラ商会が誇る錬金術師達でも解析できなかった魔道具の秘密、それは魔道具に刻まれた魔法陣の大きさだ。


 錬金術師達は魔道具に刻まれた魔法陣を読み取り、解析するわけなんだが、最近ハルトが作る魔道具はその陣があまりにも微細すぎるのだ。


 それこそ目視では見えないほどに。

 そこまで精密かつ大量に刻まれた魔法陣は当初、ただの素材の傷だと勘違いされるほど小さかった。

 

 そして従来の物より遥かに優秀な魔力効率から、少ない魔力でも多くの製品を作れるようになり、結果的にニコラ商会の製造部門は生産ペースが爆発的に増えた。


 お陰で商会の業績も鰻登り。

 私の家系が代々受け継いできたニコラ商会は今や歴史的な大成長を遂げている。





 感謝しなければならない。

 それはわかっているのだ。


 だが、




 兵器は作らないでほしかった......っ!


 「あ、お父さん。ちょうど良かった、ドラゴンを一撃で葬る武器出来たよ。」

 は?

 今、なん......て......




 息子が突っ込んできた爆弾に止めを刺され、私の意識はそこで途絶えたのであった。





 ****


 お、あれは愛しの我が父ではないか。

 何で居るのか知らんがちょうどよかった。

 早速完成したこれでも見せるか。

 なんか疲れた顔をしているが。



 「あ、お父さん。ちょうど良かった、ドラゴンを一撃で葬る武器出来たよ。」


 


 あれ?

 ダディ?

 何でそこで転けた?

 起き上がってこないし。


 脈は......ある。

 呼吸もしている。

 ふむ......




 取り敢えず研究所で様子を見るか。



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