狂科学者の楽しい兵器開発(3)
「バッテリー満タン、魔法陣OK、的の固定OK......発射!」
実験場に設置された魔道具が各属性の攻撃を的へ当てる。
「う~ん。やっぱり雷属性が強力だな。」
電子に干渉する雷属性はドラゴンの鱗も易々と貫く。
指向性を持った電子が原子核を直接破壊するのだろう。
いくら耐熱性を持っていても、原子核を破壊されると崩壊するようだ。
今回は各属性の司る現象を収束して打ち込む実験だ。
火属性は熱エネルギーを加え、水属性は逆に奪い、土属性は柔軟性を奪い、雷属性は電子を打ち込み、無属性はただひたすら純粋な魔力を叩きつける。
風属性がないって?
何を加速しろというのだ。
空間か?
その中で最も高効率で対象を破壊できたのは雷属性。
高密度のエネルギーを叩きこむことで対象をプラズマ化、および崩壊させる。
これに風属性の加速で加速しながらついでに熱も叩き込めば完璧......
そうか。
なんで一属性しか使わないという縛りを入れていたんだ。
別に何種類の属性を使おうが、干渉しあわず、対象に当たればいい話。
なんだ、簡単じゃないか。
発見をした俺は早速改良を重ねる。
魔力で生み出した電子を収束させ、火属性を込めることで励起、高エネルギー状態に移行させて風属性の加速を用い、亜光速で射出する。
そうすれば当たった対象にエネルギーは移動し、励起された原子は連鎖的に崩壊する。
弾道上にある空気分子まで破壊してしまうのが問題だが、ある程度先まで風属性で一瞬どかせばこちらへの被害はなくなるに違いない。
「うし、できた。」
いろいろと危険なので銃口を上に向け、的を取り付けて設置し、退避する。
「発射!」
ボンッ
「ん?」
爆発音が一度聞こえ、光の柱が一瞬見えた後、押し寄せてくる静寂。
ハルトが恐る恐る爆心地に向かうと、
「いや、強過ぎだろ。」
ドラゴンの鱗を数十枚単位で重ねた的は、跡形もなく消滅していた。
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