狂科学者の楽しい兵器開発(1)
「じゃあハルト君、これからもメンテナンスをよろしく頼むよ。」
「もちろん、ではまた。」
ふう、行ったか。
さて、色々実験も落ち着いたし、予算も増えた。
一千万レアは有時の予算に回して、残りで兵器開発と洒落混むか。
そろそろ叔父さんにドラゴンを瞬殺できるようになってもらおう。
そのためにも高性能かつ安定性のある兵器を作り上げなければ。
ゆくゆくは義手のギミックに仕込みたいところだ。
ドラゴンっていうのはとにかく硬い。
肉も分厚くてハンターが愛用する弓や剣はまず急所に効かない。
鱗が叔父さんの義手に装甲として使われるほど硬いから、まずはそれを貫かなければいけない。
最近いろいろな攻撃魔法で鱗素材の破壊を試してみたが、貫通特化の陣以外はほとんど歯が立たないこともわかっている。
流石に俺の魔力を惜しげもなく注ぎ込めば破壊できるが。
そんな量を貯蔵できるバッテリーは大きすぎて数発分しか持ち運びできないだろうし実用性に欠ける。
まず弾頭の吟味だ。
魔力エネルギー系統の弾か、鋼材で作ったマテリアル系統の弾、若しくは前世の対戦車ミサイルで使われていた、高圧下で冷えたまま流動体になった金属を発射して装甲をぶち抜く斬新な化学エネルギー弾。
どれにするかで大きさや威力、性能に大幅な差が生まれる。
ま、それを今から実際にやってみるんだが。
最後の奴は無駄に高度な技術で作られているだけあって準備が大変だ。
火薬とかは火属性の魔方陣で威力調整も自由自在だし、楽だけどな。
本音を言えば魔力弾で高威力の陣を組んで一番かっこよくて簡単に作れるタイプの開発、改良だけをしたいんだが、今回は適当に選ぶわけにもいかない。
これは遊びだけではすまない案件だし、真面目にやらんと叔父さんが死ぬ。
それにまだまだこの世界は野蛮だ。
そんな状況下では絶対に勝てる虎の子の一つもあった方が安心できる。
俺自身が特攻すれば問題ない気もするが、
俺は文明人なので別に喧嘩をしたいわけでもない。
求めるのは対象を一撃で確殺できる性能のみ。
必要なのはエネルギーを一点集中すさせる技術と、ドラゴンの分厚い鱗と肉を貫通するエネルギー。
そしてそれらを完全に制御する機構。
今まで積み上げてきた魔法技術と研究成果を結集しようではないか。
さて、楽しい兵器開発の始まりだ。
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