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狂科学者、調教する。


 「......拘束具で動きを制限しといたのは正解だったな。」

 

 そうつぶやくハルトの目の前には、人工筋肉をでたらめに縮めながらも、拘束具のせいで動けない実験機がいた。


 ドブネズミ達は混乱しつつも、この体の動かし方を探っているようだ。

 発声器官は濁声を出して煩いし、

 義眼はせわしなく動き、周囲を確認しようとしている。

 まだ上手く信号を処理できていないらしい。


 俺を見て警戒しているようにも見える。


 もし拘束具を付けていなければ、この部屋にある大事な素材はおろか、己の脳まで破壊してしまったかもしれない。


 こいつのIQは恐らく乳児レベル。

 いくつもの脳を連結させたばっかりだからな。

 もう少し低いかもしれない。

 それに、恐らくだが自分を正確に認識できていない。今までの体はネズミだったしな。

 

 そう考えながら俺は実験機の右手を抑えていた拘束具を外した。


 途端に跳ね上がる手首。

 指のマニピュレーターは意味なく暴走し、再度拘束されることを拒んでいる。


 そこで、

 

 「おい!」

 と大声で声をかけながらボールを示すハルト。

 声に反応して義眼はボールを認識する。

 

 それを確認して、ゆっくりとボールを実験機の右手まで移動させれば、

 実験機の義眼はそれに誘導され、己の右手を認識する。


 軽く指先にボールを当ててやり、感覚の認識を促す。

 それを根気よく続ける事約一時間、

 視界の情報がクリアになってきたのか漸く実験体は己の指を認識した。

 それが自分の意志で動くことを認識し、絶妙な距離にあるボールを掴むため、指の屈伸を繰り返す。


 「よしよし。」

 長時間の単純作業をしたせいか、ハルトは実験体に教えるのが楽しくなっていた。

 

 そのままゆっくりボールを掴ませてやれば、見たことがない謎物体と言わんばかりに片手で弄り回し始める。


 「すばらしい!」

 一定の知性が見受けられたことにハルトは大興奮したのだった。



 

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