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狂科学者のマッドな研究室。


 ドブネズミ達の脳を繋いだ機械の肉体。

 人と変わらない量の筋肉と、骨格を備えたそれは、動かすためにネズミ一匹の脳では手に余る処理能力を求める。


 なので数体のドブネズミを感覚信号の処理と運動を決定するグループに分け、それらを基点に大量の脳が手分けして意思決定の演算を行う形だ。


 互いに配線で繋がれ、感覚を遮断された全ての脳は端子から入力される信号に依存し、実験が成功すれば一つの生命体の如く振る舞い始めるだろう。



 俺が知りたいのは、思考能力が低い生命体が一つに溶け合った時生まれる、集合意識とでも呼べる存在だ。



 自我を得られるのか、はたまた適応できずにカオスの海へ埋もれたまま死んでいくのか。


 人と同じような発声器官も作ってやったので話せるようになる可能性もある。


 取り敢えずは、




 「エルシー? しばらく様子を見といて。何か変化があったら呼ぶこと。」

 「はいです。」


 助手に丸投げしよう。

 まだ感覚器官から来る信号を正常に処理できないだろうしな。

 待っていてもいいが、いつまで待たされるかわかったもんじゃない。


 その間魔力炉のメンテナンスでもするか。


 モルデモート一世の世話もしないとな。


 全て義肢に交換し終わったしそろそろ人型に改造もしていかないと。

 頭蓋を拡張して脳細胞を継ぎ足すことも検討しなければ。



 「元気か?」


 そう声をかければ、飛んでくる義手のパンチ。

 散々全身に手を加えられたせいか、最近はハルトを見た瞬間に警戒し出すようになった。



 ほぼ最大出力で殴ってくるから恐らくマジだ。

 甘噛みなんて可愛いものじゃない。

 

 その一方で助手達にはなついているようだから不思議だ。





 パパッと糞を捨てて餌を替え、水を取り替えたハルトがその隣へ目を向けると、



 頭蓋と背骨だけになったモルデモート八十七世が、生理食塩水の水槽内で静かに揺れている。


 余ったドブネズミで別の研究も始めたのだ。


 八十七世は脳と脊髄のみを残し、外部装置を取り付けやすいように改造され、人工ポンプで酸素と栄養を加えながら血液を循環することで、生命を維持させている。



 頭蓋骨にはおびただしい数の穴を開けられ、接続用の端子が顔を出す。


 なんとも狂気的な空間だが、当の本人は全く気にせず楽しそうに研究を進めていく。



 

 ハルトの研究は止まるところを知らない。



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