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狂科学者の好奇心。


 「所長? こんなたくさんのドブネズミ、何に使うんですか?」


 研究所へと運び込まれる大量のドブネズミたちの檻をみて、疑問を漏らすメアリー。


 まあ普通はそういう反応になるよな。

 

 薬物実験?

 解剖?

 臓器移植?

 

 そういう類ではない。

 俺が欲しいのはドブネズミ共の脳みそだ。


 え?

 脳みそだけ出して何をするんだって?

 もちろん実験だ。

 数十体のネズミの心肺と脳、それぞれを生命維持装置とつなげて生命維持をしながら、全部の脳を接続し、シンクロさせるのが今回の実験。

 実験の結果何が起きるかはわからないが、少なくとも俺の好奇心は満たされるだろう。

 上手くいったらパワースーツの制御機構に応用できるかもしれないけど。

 まあほとんど採算度外視の研究だ。



 なんでそんなほぼ赤字確定なことをするのかっていうと、資金に余裕ができたから。

 今までもあったにはあったが、もしものためにひたすら金になりそうな研究をして一定額まで貯金していたのだ。

 その貯金から溢れた資金で好きなことをするだけなので全く問題ない。



 実験の動機はふと、ある実験を思い出したからだ。

 前世でもネズミや猿の脳を複数接続して知能を向上させるという実験があってな。

 ただ、被検体が三匹とか小規模で、数十匹の検体で大規模にやっていたわけではなかった。


 なので資金にも余裕があるし、やってみようと思ったわけだ。


 準備が面倒くさいけどな。


 何せ数十匹のドブネズミに麻酔をかけて、一匹一匹丁寧に取り出していかないといけないのだから。

 


 上手くいっても何ができるかは未知数。

 だがそれがいい。


 研究者とは世界の道理を調べ、明らかにするものだ。

 副産物で成果があるといっても過言ではない。



 前世では結果を出せなかったため認められなかったが、今世では既に結果を出している。

 出資者もいる。

 土台も作った。

 助手もいる。

 場所もある。

 機材もある。

 女神の許可もある。

 何より俺がいる。

 


 ならばしたい研究をすればいいのだ。

 実用性皆無でも問題ない。

 


 「じゃあ、始めよう。」

 ハルトは前世含め一番生き生きとした笑顔で実験を始めた。


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