狂科学者、招かれる。
やれやれ、
どうしてこうなったんだか......。
傲慢そうな騎士から監視されつつユアの後をついて行くハルトは考える。
まあほとんど俺が原因だったんだろうけどさ。
今のところこの街の領主が俺に聞きたいこと、若しくは話したいことは大体三通りぐらいに絞り込める。
パターン1
普通に感謝される。何も詮索してこなければ最高。
パターン2
チンピラどもと共謀していると疑われる。普通に最悪だな。
パターン3
これはないと思うが、ユアが俺のアクロバティックな運動やちょっと漏らした存在感を正確に話したりして興味を持たれ、詮索される。後でこっそり人物関係を洗われたら結構困るな。
まあなんにせよ俺の貴重な研究時間が他人の手によって削られるという点においては変わらない。
人の口には戸を立てられないって言うし、俺も完全に外界とサヨナラする気はないので、ある程度の妥協は必要だとは思うが......できる限り周りに迷惑をかけない方針で行かないとな。
そんな感じでグチャグチャ考えていると、いつのまにか目前にまで近づいている大きな門。
俺が生まれ育ったこの街、レゾンデを含むこの国で三番目の広さのメルガルト公爵領。
その現当主が領地の政治をするために住んでいる領主館だ。
王家に次いで権力があるだけあって、無茶苦茶デカい。
大理石と赤煉瓦をふんだんに使っているところにも金があることがうかがえる。
「ついてこい。」
と傲慢そうな口調で俺を先導する騎士殿。
歯向かっても仕方ないのでハイハイっとついて行く。
そして無駄にでっかくて重そうな扉の前に来た。ここが執務室なのか?
「閣下、例の子供を連れてきました。」
「入れ。」
扉の向こうにいると思われる公爵殿はなかなか威厳のある声をお持ちのようだ。
まあ入れと言われたので騎士が開けた扉を通って中に入るか。
俺の時間を削った公爵とやらの面を拝ませてもらおう。
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