狂科学者、転生する。
「おぎゃーおぎゃー」
「お腹がすいたの? ハルト?」
———ふむ、無事に転生できたようだな。一応言葉はわかるのか。この距離から人の顔がぼやけながらも割とはっきり見えることを考慮すると......一歳ぐらいか? で、俺の名前はハルトだと。この女性が母親だとしたら将来の顔面偏差値は期待できそうだ。
生後間もない赤ん坊の視力はとんでもなく悪いのだ。
一歳ぐらいというと......授乳は終わって離乳食にうつる段階だったっけ?
自我に目覚めた瞬間から前世の学生時代に寝食を惜しんで蓄えまくった生物知識をもとに考察を始めるハルト。
なるほど、少し期待していた嬉し恥ずかし授乳イベントは逃したと。
非常に残念だ。
誠に遺憾である。
試しに全身に力を入れてみるが、まだうまく動かない。
女神がくれた常時発動の超回復を活用して早急に鍛えなければ。
中世の平均寿命は50歳ぐらいなのだからのろのろしてたらすぐに過ぎてしまう。
というわけで早速手をグーパーグーパー、足もバタバタ、ついでに腕もバタバタ、
......疲れた。
数十秒で疲れてしまった。
むっちゃ眠いのでお休みなさい、グウ。
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「......不思議な子。」
一児の母であるミレアは己の息子の奇行に困惑していた。
泣いていると思ったら突然泣き止んで、こちらをまじまじと見つめ出したと思ったら全身でばたばた動き始めたのだ。
そして疲れたのかぱったり寝てしまった。
「赤ちゃんってみんなこうなのかしら?」