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狂科学者、所長になる。


 アランが笑いながら帰っていったあと、数分して俺は復活した。

 


 そして助手の奴隷達に、

 「取り敢えずそこの突き当たりを左に曲がったところに風呂があるから石鹸も使って全身を念入りに洗って来て。服も脱衣所の棚に用意してあるから出た後はそれに着替えてくれ。細かいことはその後だ。」

 と指示を出して運び込まれていた荷ほどきを始める。


 この研究所には開発、改良された石鹸やその他の備品の試験もかねて風呂を含めた一通りの生活設備があるのだ。


 助手達にはここで住み込みで働いてもらうので住居の役割もある。殆ど俺が作った魔道具なので下手したら貴族の屋敷よりも機能的で高価だ。


 俺もロッカーから新品の白衣を出して着込む。気分は大事。


 目に飛び込む真っ白い色に懐かしさを感じながらモルデモート達の檻を並べ、一世には取り外していた手足を取り付けてやる。

 一世は四肢の完全機械化を遂げて今や生身は頭部と胴体のみだ。慣れたらしくそこら辺を元気に走り回っている。今度は眼球だな。



 「「「「ご主人様~」」」」

 整理で時間を潰していると、購入当初はそこまで清潔にできず、少しくすんでいた肌を綺麗にした助手達が戻ってきた。


 「お、綺麗になったね。」

 ん? なんか物言いたげな顔だな。金髪のこいつは......ミリアか。

 「何か問題でもあった? ミリア?」

 「えっと......私達なんかがあのような高級な石鹸や魔道具を使わせてもらって良かったのでしょうか......。」

 

 ああ、少し庶民でも流通しているとはいえ、まだ浸透しきっていないもんな。

 初めて目にしたんだろう。


 新しい石鹸のパイオニアとなった我が父の経営するニコラ商会では、近年石鹸の材料配分の研究や、香料を用いた様々な種類の石鹸の開発と販売が盛んだ。盛んな研究は技術を磨き、高品質な石鹸と副産物に新しい実験器具を開発し続けている。プチ産業革命だ。


 開発した石鹸の製法は期間を置いて順次公開しているため反発も少ない。消毒用エタノールも安価なので治癒院とかで病魔を払う浄化水とか呼ばれて結構使用されているぞ。


 ただ真似をしても俺特製の魔道具で無駄無く正確に抽出できているニコラ商会のものが圧倒的に高品質かつ安価だから、今のところ目立った商売敵は出てきていないらしい。


 魔道具の方はまだ公開していない。

 ダディが俺の魔道具を一つ知り合いの錬金術師に見せたところ、大量の古代技術が使われているとかなんとかで興奮し出したため、今公開すると間違いなく劇薬レベルの反応を起こすので危険だと判断した結果だ。地球の電子工学をちょっと応用しただけなんだけどなぁ。


 うっかり公開して俺の命や身柄を狙われたら世話ないぜ。

 こちらは現在ある理論から少しづつ改良したものを出していくしかないだろうな。



 なんにせよ、

 「おr......僕が開発した石鹸だから気にしないで。最低限の生活環境は保証するから、働いてね。」


 なんか年頃の女性に向かって僕口調はむず痒いな。

 「あ、あと。」

 「何ですかご主人様?」

 「そのご主人様って呼び方やめて。これから僕のことは所長って呼ぶように。」

 「わかりました所長。」

 この茶髪はメアリーか。結構教養があるみたいだな。


 後ろでは所長と呼ぶのが慣れない様で三人固まってぶつぶつ呟いては首をかしげている。



 ま、慣れるだろ。


 これで俺も所長か、出世したもんだな......。

 

 よし、取り敢えず助手達の学力調査と教育から始めるか。



 

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