狂科学者は王女を置き去りにする
更新間隔が大分空いてしまい、すみません。
ちょっと日常のペースがぐちゃぐちゃになっていまして。
……週に五日間塾があるって中々クレイジーですよ。
……そういえば小学生時代は週七日でした(遠い目)
王女が後半日で帰ることが判明し、ついでに遺跡についても思い出したハルト。
その頭は絶好調な回転速度で予定を組み立て始める。
取り敢えず……遺跡が気になるな。
だが、残念ながら先に処理すべき案件がいくつかある。
なんか不作になっているらしい村の視察もしなければならんしな。
さて、
「ユア、お前はここで大人しくしていられるか? 少々視察に行ってくる。」
「私も行くっ!」
「私も行きたいですっ!」
脊髄反射レベルの反応速度で抗議するユアと皇女。
留守番してもらうつもりだったのだがな。
「だめ?(ですか?)」
そう目尻を落として上目遣い気味に聞いてくるユアと王女。
……仲良いなお前ら。
そしてその上目遣いは止めろ。
なんだか背中がむず痒くなってくる。
ふむ……ユアは問題ないか。
かれこれ十年以上の付き合いだ。
あの公爵のせいで扱いは慣れている。
なぜ大人というのはああも身勝手なのか。
いや、別に大人に限った話では無いがな。
そして王女、お前はだめだ。
一日で終わる確証がない。
そう言うと、しょんぼりと引き下がる王女。
というわけで……
「まあ、ユアは好きにしろ。」
「うん!」
俺も随分と丸くなったものだな。
そう第三者視点で自己評価をするハルト。
「じゃあ、行ってくる。」
「「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」」
「あ、待って!」
「早くしろ。」
「ハルトさん……」
そうして職員達+王女に見送られながら出発するハルト(とユア)であった。
****
件の村へと爆進する二つの空飛ぶ人影。
『ハル君』
『何だ?』
『ハル君って、たまに意地悪だよね。』
『……?』
随分と唐突だな。
音速を超えて飛行している最中に通信でさらっとディスられ、戸惑うハルト。
『ハル君は知っているでしょ? 殿下がハル君のこと、大好きだって。』
ま、
『……そりゃな。で、それが何故俺が意地悪だという結論になるんだ?』
『だって……殿下はハル君に逢いに来たんだよ?』
『そうだな。』
『それも半日程度。暫くいる私は良いけど、少しくらい殿下に構ってあげても良いじゃないかなって。』
……成る程?
要は王女と半日ぐらい付き合ってあげたら良いじゃない。
そう言いたいのだな。
しかし、
『その割にはこの状況を嬉しく思っているようだが?』
ユアよ、何年の付き合いだと思っているんだ。
お前の顔が緩んでいることなんてお見通しだぞ。
『……バレた?』
おう。
『でも……ハル君を独り占めできるし、その……』
『わかってる。』
新参に俺を取られたく無いってか。
俺はモノでは無いがな。
ユアが勝手に思っているだけだし、王女の悪巧みに比べれば可愛いもの……
と、そこまで考えて、いや? と目を細めるハルト。
そういえば物騒なマルウェア擬きを作っていたな。
アレを考慮すると……
片や惚れた男に薬を盛り、更には自死も厭わない渾身の捨て身技を披露した王女。
片や幼馴染に人生を捧げる勢いで付き纏い、いつの間にかこちらを行動不能に出来る危険物を作成していたユア。
……どちらも変わらない気がしてきたな……
ぎりぎりユアの方がマシか……?
どちらにせよ、俺の知っている健全な恋愛感情とは程遠いものだ。
まあ……周りと異なった青年期を送ってきたし、そこらへんの基準に確信は持てないがな。
それでもこれほどドロドロとした感情が渦巻くものでは無いはずだ。
そんなのが恋愛のスタンダードだとしたら唯の悪夢でしか無い。
そう思案に耽りながら飛ぶこと数分。
開けた平野に見えて来るそこそこ大規模な柵と家の数々。
『ハル君、あそこの村?』
『ああ。速度を落としとけ。』
『うんっ!』
そして件の村へと辿り着いた二人であった。
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