狂科学者、研究所を得る。
「部屋がせまいっ!」
その一言からすべては始まった。
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ハルトの部屋はかなり狭い。
加工用の魔道具や実験器具の山、動物実験用の檻などを全て置いていった結果、スペースがベット一つ分まで減ってしまったのだ。
ちょっと手を伸ばせば必ず手に触れる高性能なガラクタ達。
三度の飯よりも研究が好きなハルトもこれには閉口した。
そして思い出されるのは前世の広い研究室。予算は下りなかったが、徹夜で泊まる場所としてはなかなか快適だったのだ。
そういうわけでハルトは色々と商品の情報をちらつかせながらアランと交渉し、二コラ商会所有の商品開発部門用施設として研究所を建ててもらえることとなった。
つくりはレンガ造りの一階建てだが、広い野外実験場があるので全く問題ない。おまけに研究の助手や技術者も何人かつけてもらえることになったのでこれからは実験がはかどりそうだ。
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「こいつは私の息子でこの施設の所長となるハルトだ。全員指示に従うように。」
アランがそう説明しながら俺を前に出せば、そのあり得ない若さに驚く職員たち。
経費削減と俺の希望から全員奴隷だ。なんでかっていうと軽い実験に付き合ってもらいたいから。
......流石にモルデモートみたいなことまではしない。一応人間だからな。
「ハルト、お前もなんか言え。」
「あ~ハルトって呼んでください。四歳です。あなたたちには僕の実験を手伝ってもらいますのでそこらへんよろしく。」
めんどくさいのでパパっと自己紹介して向こうへバトンタッチをすれば、右端から順番に自己紹介が進む。
「あたしはリエラ、16歳だ。よろしくな『ご主人様』。」
「私はメアリーと言います。20歳です。よろしくお願いします『ご主人様』。」
「エルシー、19歳です。よろしくです、『ご主人様』。」
「え、えっと、ミリア......です。14歳です。よろしくお願いします、『ご主人様』。」
「......グホッ。」
ハルトは胸を押さえて蹲った。
「「「「......ご主人様?」」」」
「ゴハァッ」
なぜか全員20歳以下で女性な上に顔も整っている。
その全員から「ご主人様」と呼ばれる衝撃はハルトのチェリーボーイな心臓を粉砕したのだった。
「お前にも意外と可愛いところがあったのな。」
アランだけは瀕死のハルトを見下ろしながら一人楽しそうに笑っていた。
あんたの仕業かっ!




