狂科学者の傲慢
「じゃあ、行ってくるね!」
「おう、......程々にな。」
屋敷の前で神速の大ジャンプをし、飛び立つ幼馴染み。
それを見送るハルト。
目を剥く通り掛かった住民達。
別に許可取るだけなら通信でも良い筈だが......まあ何か都合があるのだろう。
その都合が親父を脅迫したログが残ると嫌だったからとか言うものでないことを祈っておこう。
ラーメン
信じてもいない神への祈りを適当に呟き、屋敷へと戻る。
さて、
出鼻を挫かれた気分だが、何だかんだ言ってもう夕方。
急ぎの案件でもなかったし、また今度やるか。
......書類仕事とやらをしてみるか。
行き来している職員を二人捕まえて執務室へ直行。
許可待ちの書類や報告書を持ってこさせ、分別を命じる。
山のような報告書は時系列順に職員の補助脳を通して保存させ、直接決定を下す必要のある物だけこちらに持って来させる。
そして席に踏ん反り返り、監督しつつ決定を下していくハルト。
「......ん?」
流れるようにサインをしていた手がピタリと止まる。
そして目を瞬かせ、二、三度見直す。
そこに書かれていたのは、
「これは......あれか? 嘆願書と言うやつか?」
どう思う?
そう聞きながら手伝いにも見えるように掲げれば、
「嘆願書ですね。」
「税の軽減を頼んでいるようだが......これがどうしたんだ所長?」
どうやら正解らしい。
税率軽減を願う嘆願書。
ぱっと見て内政力皆無な俺に思い付くのは、
マジなやつか、
ただの甘えか、
その二択のみ。
マジなやつであればちょいと視察に行って問題点を把握、対応できる。
ただの甘えであれば......
ば......
......どうする?
これからは人的資源要らずの農業を展開していく予定な訳で、......別に労働したくないとかほざいていても問題は無い......か?
ぶっちゃけ俺の自由にできる資金でもこの領地の税金程度数年は余裕で賄える。
二術院の利益やその他もろもろの利権が生む金はそれほどにまで大きい。
まあ、
赤字であることに変わりはないし、生産活動を止めるわけにはいかないが。
無駄飯ぐらいを態々飼うほど聖人君子でもないしな。
取り敢えず、
農業従事者として農業自動化のための知識提供はしてもらう。
これは決定事項だ。
村の住民をまるごと名誉ある生徒『第一号』として招待するって言うのもありだな。
ま、
どちらにせよ、
彼等には今まで以上に働いてもらうことになるだろう。
せっかく人間なのだ。
肉体労働とか言う家畜生活より頭脳労働の方がよっぽど有意義であると言うことを教えてやろうではないか。
必要なものは身一つのみ。
考える脳があれば良い。
この世界に足りないと思われる思考力の底上げ。
それをここから始めようではないか。
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