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狂科学者の下準備

 「取り敢えず......」


 当座の活動場所を作るか。

 何をするにも、元となる設備がないと大変だからな。

 


 そう考え、領主館から出るハルト。

 地図情報はボルグが渡してきた地図を元に作成し、保存しておく。


 

 領主館から出てきた少年に対する好奇の視線が絶えないが、全て無視して道を直進する。




 そして歩くこと数十分、





 「......地図によると、ここら辺だな。」



 街の周囲をぐるりと歩き回り、満足できる条件の平地を発見したハルトは「車のような何か」を遠隔操作で呼び出した。




 車輪を唸らせ、急速に接近してくる金属塊。


 それは一切速度を緩めること無くハルトに激突し、その腕一本のみによって全ての加速度を相殺される。




 そして、




 『インストール開始』



 走らされたコマンドは、金属塊内部の回路へ介入し、その形態を保存されたデータ通りの物へと変化させていく。

 一部は強度及び衝撃吸収能力に長ける多孔質体となり、骨組みとなる。

 薄い装甲板が複数重ねられ、壁となる。


 魔法回路が走り、内装や設備が作られていく。


 壁には結界魔法陣が隙間無く展開され、屋上には魔力炉の光変換パネルが広がる。


 巨大な魔力バッテリーが構築され、稼働開始した大規模魔力炉から供給される魔力を蓄え、接続された設備及び機構への魔力配給を開始する。


 

 


 そして出来上がる一つの要塞。


 研究するために作られたハルトのための城。



 

 『座標設定。計測開始。』


 魔力の波がその場を起点として放たれ、二ヶ所の地点を観測し、位置関係を把握する。


 王都の支部。

 そしてメルガルト領にあった研究所跡地。

 それら二つの支部との距離を計測し、角度を算出する。


 三角関数を利用したアルゴリズムを用い、方角と三点の座標からこの星が球体であった場合の大まかな半径を算出し、現在地を特定する。



 「......まあ、恐らく球体なんだろうが。」


 魔法がある世界だ。


 半球でも別におかしくはないのだが......流石にそんな時代錯誤な......


 いや、俺の知識の方が時代錯誤か。

 新しいと言う意味で。



 この星が平面でない程度は物の見えかたから分かるが、星の裏まではまだ行ったことがないのだ。




 ......というか円盤形の星なんて人が住める規模で有り得るのか? 


 重力は物体の中心へ向かう。

 それもあって星は丸いのだが......それは前世での法則。

 こちらは魔法があるのだ。まだ決定的な法則の差異は見ないが、無いとは言い切れない。




 まあ良い。


 取り敢えず施設は最低限使えるようになった。


 次は更なる拡大のための資材を集めないとな。

 

 そしてハルトはメルガルト領にいる両親へと連絡を取るのであった。

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